更新:2023.06.16

マンションのリノベーションはどこまでできる?注意すべき7か所と5つの管理規約

マンションリノベのできること、できないこと

中古マンションを買ってリフォームやリノベーションを考えている場合、

「室内のどこまで変えていいんだろう?」
「リノベできないところってある?」

といった、集合住宅ならではの制約があるのか気になりますよね。

マンションの場合、「個人で変えていいのは専有部分のみ」という基本ルールがあります。

また、どのマンションにも管理規約が定められており、その規約を守りながらリフォームやリノベを考える必要があるのです。

この記事では、

  • 専有部分と共用部分の具体的な解説
  • 確認すべき管理規約の項目
  • 管理規約以外で確認すべき内容
  • 規約内で自分らしさを取り入れるリノベアイデア
  • スムーズにチェック、進めるダンドリのコツ
  • マンションリノベでよくある質問

について、詳しく解説します。

読み終わる頃には、物件を選ぶ際のチェックポイントがより正確になり、「知らなかった!」といった想定外を防げるようになるはずです。

目次

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    1.自分でリフォームやリノベできるのは「専有部分」のみ


    青色の部分は床下や天井裏を含めて専有部分。バルコニーや窓など赤色の部分は共用部分のため、個人で変更することができない

    マンションは上図のように、「専有部分」と「共用部分」に分かれており、躯体(コンクリートスラブ)の内側を専有部分と呼び、専有部分以外は共用部分と呼ばれています。

    リノベで変えていいのは専有部分のみとなり、共用部分は勝手に変更することができません。

    以下、詳しく説明していきましょう。

    1-1.「専有部分」は自由に変えられる

    専有部分は所有物となるため、所有者の判断でメンテナンスをしたり、リフォームやリノベで変更することができます。

    専有部分は、部屋の床や壁、扉や水まわり設備などに加え、躯体のコンクリートスラブの内側となる見えない床下の配管や天井裏なども含まれます。

    1-2.「共用部分」は勝手に変えられない

    一方、共用部分はマンションの所有者全員が共用する場所なので、勝手に変更したりリノベで変えることは基本的にできません。

    専用庭・バルコニー・ポーチなど住戸外の部分に加え、床・天井の躯体コンクリートスラブの部分や、共用配管のあるパイプスペース、窓やサッシ、玄関ドアなども共用部分に含まれます。

    1-3.間違いやすい「専用使用部分」7か所を要チェック

    専用使用部分

    窓やサッシ、玄関ドア、バルコニーなど「ここって勝手にメンテナンスしたりリノベで変えたりしていいのかな?」と判断に迷う部分は「専用使用部分」であることが多いです。

    「専用使用部分」は基本的に所有者だけが使用することができ、所有者以外は使うことができない共用部分です。

    そのため、専用使用部分に関しても、勝手にリフォームやリノベをすることはできません。

    購入後にリノベを考えている場合は、曖昧になりがちな「専用使用部分もリノベはできない」と明確に知っておくことで、変えられると思ったのにできなかった、という想定外を防ぐことができます。

    以下、一つひとつ内容を確認していきましょう。

    窓ガラス

    窓ガラスは基本的には共用部分ですが、物件によっては専有部分としているところもあるため確認が必要です。

    共用部分と定めている場合は、割れてしまったときの交換についても管理組合に申請を出す必要があります。

    サッシ

    サッシは外観に影響するため、勝手に交換できません。

    劣化がひどくなってサッシ交換するときなどはマンションの所有者で構成する管理組合で協議して決めることになります。

    網戸

    網戸も共用部分。網戸本体の交換については管理組合に申請する必要があります。

    網の張替えなどメンテナンス費用は自己負担となります。

    玄関ドア

    玄関ドアも共用部分となり、外観に影響するという理由で交換はできません。

    ただし内側のみ塗装やシート貼りすることはOK。外側の劣化が目立ってきたら、管理組合でメンテナンスについて協議することになります。

    錠の交換

    共用エントランスと連動している(同じ鍵で開け閉めできる)玄関錠は、個人で勝手に交換できません。

    インターホン

    インターホンは種類によって異なります。

    オートロック付きのマンションでは、エントランスの親機と各部屋のインターホン子機が連動しているので、勝手に交換はできません。

    オートロックと連動しておらず、その部屋だけの呼び出しインターホンの場合は交換可能です。

    バルコニー

    バルコニーは共用部分。勝手にリフォームすることはできません。管理組合の了承を得れば、撤去可能なウッドデッキを設置することが可能です。

    ただし、大規模修繕の際には撤去が必要になるので修繕の時期や撤去時の対応やコストについて予め確認しておきましょう。

    2.共用部分にも自分らしさを取り入れるリノベアイデア

    先述したとおり、バルコニーや窓、玄関ドアなどは「専用使用部分」と呼ばれる共用部分のため、取り替えたりリノベで変えることはできません。

    しかし、そこだけ古びていたり、他とデザインが合わないのは悲しいですよね。

    そんな共用部分に快適性と自分らしさを取り入れる、3つの払拭アイデアを紹介します。

    2-1.玄関ドアの内側を塗装して、デザインを統一

    既存の玄関ドアの内側に塗装した例

    玄関ドアは共用部分のため、勝手に取り替えたりはできませんが、内側のみ塗装することができます。

    写真のように壁と玄関ドアを合わせて塗装することで、デザイン性を損なうことなく、空間を整えることが可能です。

    2-2.内窓を設置して、快適性とデザインを両立

    既存の窓に内窓をつけた例

    窓やサッシが老朽化している、結露が気になるといった物件の場合は、既存の窓に内窓をつけるのが効果的です。

    断熱性のアップや結露防止になるため室内での快適性が上がるのはもちろん、写真のように室内の雰囲気に合ったデザインに合わせることができます。

    窓まわりの床や空間も併せてデザインすれば、心地よい窓辺を演出することもできますよ。

    2-3.バルコニーにウッドデッキを敷き、アウトドアリビングに

    既存のバルコニーにウッドデッキを設置した例

    管理組合の了承が得られれば、味気ないバルコニーもウッドデッキを敷くことで室内の延長として広く有効に活用することも可能です。

    ただし、大規模修繕の際にはすべて撤去しなければなりません。大規模修繕のタイミングや、その間の保管の方法など考慮した上で検討しましょう。

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    3.リノベするなら管理規約の閲覧は必須

    中古マンションを購入してリフォームやリノベを考えている場合、1章で解説した専有部分の変更における基本ルールに加え、その物件の管理規約の取り決めを確認しておくことで、購入後の想定外やトラブルを防ぐことができます。

    管理規約とは、マンションに住む人が円滑に暮らせるよう管理組合が決めたもので、どのマンションにも必ずあります。

    リノベに関しては次のようなことが決められていることが多いです。

    管理規約は仲介担当者に入手してもらうことができるため、以下の観点を確認してもらいましょう。

    ※管理組合=マンションの区分所有者全員で構成する組合

    床の遮音性

    階下に住む人への配慮のため、床材について遮音性の基準が決められており、リノベで床を張り替えるときは、基準をクリアする床材を選ぶ必要があります。

    基準はLL45やLL40など遮音性を示すLL値で記載されているのが一般的です。

    一般的な複合フローリングの場合は、防音対策を兼ねた床材も多く選択肢は豊富ですが、床をむく材にしたい場合は、管理規約とマンションの構造により難しいケースもあるため、仲介担当者にしっかり確認してもらいましょう。

    詳しい内容は本記事の「6.マンションリノベのよくある8つの質問」をご覧ください。

    水まわり設備の移動禁止

    階下への騒音防止のために、キッチンや浴室など水まわりの移動を禁止している物件も稀にあります。

    キッチンの移動を含むリノベを希望している場合には、チェックしておきましょう。

    コンクリートスラブへのビス打ち

    壁面収納を固定したり、間仕切り壁などを新たに施工する際は、壁や天井のコンクリートスラブへのビス打ちが必要となりますが、それが禁止されている物件もあります。

    タワーマンションの一部で見られるケースがあるため確認しておきましょう。

    この場合、ボンドでの施工が必要となるため、工期が延びコストも上がります。一から間取りをやり直すスケルトンリフォームは可能ですが、その際はリノベ会社に相談してください。

    事前の届け出義務

    一般的には、リノベする際に管理組合に届け出なければならない決まりが設けられています。

    リノベ内容や工期の説明が必要で、申請期限は2週間前、1カ月前までなど、マンションによってまちまちなので事前に確認しておきましょう。

    工事中の養生

    工事中は、職人さんの通り道やエレベータの中に養生シートを張って傷や汚れをつけない配慮が必要です。

    マンションによっては週に何回取り替えることと決められている場合もあり、コストにも影響するため確認しておきましょう。

    4.管理規約以外で確認しておきたいこと

    3章では管理規約で決められたルールでチェックすべき内容を説明しました。

    加えて、管理規約に明記されてなくてもリノベする場合や、購入後の暮らしに関係するものがあります。

    以下3点について、確認しておくとよいでしょう。

    住戸のリフォーム履歴

    過去にリフォームをしたのかどうか、その住戸のリフォーム履歴を確認しましょう。床材や天井の上張りをしている場合には、撤去費がかさむ場合があります。

    電気・ガスの容量上限

    マンションでは、全員で使うために各住戸で使える電気とガスの容量に上限が設けられています。リノベだけでなく、将来の暮らしにも影響するため、仲介担当者に確認してもらうとよいでしょう。

    電気は50A程度ないと複数の電気製品を同時使用するとブレーカーが落ちるおそれがあります。築年の古い物件の場合、30A程度のマンションもあるため確認しておきましょう。

    また、ガス給湯器は20号あるとシャワーとキッチンなどのお湯が同時使用しても支障はないため、使用できる給湯器の号数の上限もみておきたい部分です。

    光ファイバーの有無

    光ファイバー回線はマンションでは一括して導入されます。回線が引かれているマンションは多くなりましたが、ないケースもあります。

    光ファイバーは無線より速度が安定するので、希望する場合はチェックしてください。

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    5.管理規約の確認からリノベまでのスムーズな進め方

    3章、4章では、リフォームやリノベに関するルールは個々のマンションの管理規約などによって異なることを解説しました。

    この章では、マンションごとに異なる管理規約やルールを確認しながら、中古探しからリノベまでをスムーズに進めるポイントについて説明しましょう。

    5-1.9つのステップとダンドリのポイント

    9つのステップ

    まずは、物件の見学から着工までのおおまかな流れとポイントを解説します。

    STEP1.物件の見学

    リフォームやリノベを予定している場合は、リノベ会社に同行してもらい、物件の状態や管理規約を確認してもらうことでより納得度の高い物件を購入することができます。

    詳しくは「5-2.ワンストップのリノベ会社なら物件探しがスムーズ]をご覧ください。

    STEP2.物件確定・ローン申請

    この物件を購入すると決めたら、不動産購入申込みを行い、住宅ローンの申請をします。

    申し込みから売買契約までは1週間程度と非常に短期間のため、契約に必要な書類を仲介担当者に確認しておき、事前に用意しておくとスムーズです。

    STEP3.管理規約の取り寄せ・チェック

    ローン申込みと平行して仲介担当者が管理規約を取り寄せてくれます。

    管理規約の確認には、専門的な知識が必要となるため、リノベに関係のある部分も含めて仲介担当者にチェックしてもらいましょう

    STEP4.売買契約

    売主との間で売買契約を結びます。

    STEP5.現場調査

    売買契約を締結して物件があなたのものになったら、リノベ会社が本格的に現場調査を行います。

    STEP6.リノベプラン

    リノベ会社と打ち合わせを行い、プランを確定します。

    物件探しの際に、この物件での「リノベのできる・できない」を把握できていると、「やりたかったのにできない!」といった想定外が減りスムーズに打ち合わせが進みます。

    STEP7.管理組合に申請

    工事を始める前に、管理組合の理事長にリノベの内容と工期を伝えて、了承してもらいます。

    申請はリノベ会社が主導で説明を行ってくれます。申請期限は2週間前、1カ月前までなどマンションによって異なるため確認しておきましょう。

    STEP8.近隣住戸に挨拶

    上下左右8戸程度に、手土産を持って、工事で迷惑をかける旨、挨拶に行きます。この際も基本的にはリノベ会社が同行してくれます。

    STEP9.着工

    工期を聞いておき、引っ越しの準備を。工事が始まったら時々は現場に顔を出すといいでしょう。できあがっていくのを見るのは楽しい時間になるはずです。

    5-2ワンストップのリノベ会社なら物件探しがスムーズ

    中古マンションを購入してリフォームやリノベも行いたい場合は、物件探しからサポートできるワンストップのリノベ会社に依頼するのがおすすめです。

    理由は、物件の申し込みから契約までは1週間程度と非常に短く、その短期間で物件の状態や管理規約などを、リノベの観点も踏まえて総合的に確認する必要があるからです。

    物件が決まってからあわててリノベ会社を探して、物件見学や管理規約を確認してもらうとなると1週間では難しいケースも多く、希望の物件を取り逃がしてしまう可能性もあります。

    これぞという物件に出合った際に、納得して購入を判断するためにも、早めにリノベ会社を探して物件探しからサポートしてもらうとよいでしょう。

    また、中古物件の中には、床下の状況や健康によくないアスベストが使われているなど、解体してみないとわからないこともあります。

    予想外のことにも一緒に解決策を考えて、予算との兼ね合いの中で臨機応変に対応してくれたり、制約をアイデアで解決できるような、提案力のあるリノベ会社をパートナーに選びましょう。

    6.マンションリノベのよくある8つの質問

    最後に、中古マンションを購入後にリフォームやリノベを考えている際に、購入前によくある「できる?できない?」に関する質問をまとめました。

    具体的なモヤモヤは、事前に解決しておきましょう。

    Qフローリングをむく材にできる?

    二重床の物件または二重床に工事し、マンションの管理規約が定める遮音等級をクリアすることができれば、むく材を採用することが可能です。

    ※躯体のコンクリートスラブと床材との間に空間があり、配管を通している構造で、その空間で遮音性が確保されます

    Q天井は高くできる?

    二重天井の場合は、解体して高くできます。電気配線や換気ダクトがむき出しになるので、そういうテイストを好む人に向いています。

    躯体のコンクリートスラブに直接ビニールクロスなどで仕上げている直天井の場合は、それ以上高くすることはできません。

    詳しくは天井のリノベーションに関するこちらの記事をご覧ください

    ※二重天井=天井のコンクリートスラブとの間に空間をつくり、電気配線などを行っている天井

    天井を上げたリノベーション事例
    天井を上げた例。塗装された現し天井やむき出しの換気ダクトがユニークな空間を演出


    Qコンセントを増やせる?

    コンセントやスイッチは必要なだけ必要な位置に設けることが可能です。

    プランニングのときにどこでどんな電気製品を使うのかをイメージし、設計担当者に伝えて設置場所を決めましょう。

    コンセントをほしい場所に設置した例
    家電の位置やキッチンのデザインに合わせてコンセントもデザインした例

    Qお風呂に追い焚き機能をつけられる?

    外壁に追い焚き用の配管を通す穴があれば可能です。

    新たに穴を空ける必要がある場合は、それが許されるマンションなら可能です。管理規約で確認しましょう。

    Q床暖房は設置できる?

    電気容量が60Aあれば電気式床暖房が設置できます。

    ガス温水式床暖房を新たに設置する場合には、外壁に配管用の穴を空ける必要があり、それが許されるマンションの場合に可能です。希望する場合は、管理組合に確認が必要です。

    Q水まわり設備の移動は可能?

    管理規約で禁止されていなければ、キッチンや浴室の移動は可能です。キッチンの場合は、構造面の制約はありますが、多くの物件の場合、比較的大掛かりな移動が可能です。

    浴室やトイレも配管の問題がクリアできれば移動は可能ですが、トイレの大幅な移動は配管の構造上あまりおすすめはしていません。

    中古マンションのキッチンの移動に関しての詳細はこちらの記事をご覧ください。

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    7.まとめ

    中古マンションをリフォーム・リノベする際の「できること・できないこと」について解説してきました。

    集合住宅であるマンションは、専有部分のみ変更可能という基本ルールに加え、マンション独自の管理規約などによっても、そのルールが異なります。

    マンションごとに異なる制約を正確に把握し、希望のリフォームやリノベができる物件かどうかを丁寧に確認し、提案してくれる会社を選びましょう。

    管理規約の厳しいマンションであっても、リノベの工夫によって解決できることもあるため、積極的に相談してみてみることをおすすめしています。

    スムナラでは、建築士監修のもと、中古物件を買う前に知っておきたい注意点や、中古を買ってリノベする際のポイントやアイデアを紹介しています。リノベーションに構造や管理規約の制約はつきもの。制約を味方につけ、アイデアの幅を広げましょう。

    イラスト/長岡伸行 紹介事例/ゼロリノベ

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