相続登記の費用目安┃相場や計算方法、費用を抑えるコツを徹底解説
「相続登記には費用はいくらぐらいかかるの?」
「相続登記をするには、何にいくらぐらい払わなくてはいけないの?」
不動産を相続した時に行う相続登記には、税金や書類の発行手数料などの費用がかかります。
結論から言うと、相続登記の費用は固定資産税評価額が1,000万円の家の場合は次の通りです。
しかし、相続登記にかかる費用は一律ではなく、上の表はあくまで目安です。
相続登記にかかる費用は、相続した不動産の価値や数によって変わります。
相続の状況によっては必要になる書類が多くなる、遺産分割協議書を作成しなくてはならない、相続登記の期限を過ぎた過料を払わなくてはならない、などの理由で費用がさらに多くなることがあるのです。
相続登記にいくらかかるのかわからないままでは、負担がどれくらいかかるのかわからず、不安な状態で相続登記を進めることになってしまいます。
相続登記を自信をもってスムーズに進めるには、自分の場合は実際いくらかかるのかきちんと把握しておくことが大切です。
そこでこの記事では、相続登記にかかる費用について詳しく紹介します。
この記事を読めば、
◎相続登記にかかる費用の目安
◎相続登記にかかる4つの費用
◎相続登記の登録免許税
◎相続登記に必要な書類と発行費用
◎相続登記を依頼する司法書士への報酬の目安
◎相続登記にかかるその他の実費
◎相続登記にかかる費用を抑える方法
◎報酬を払っても相続登記を司法書士に依頼すべきケース
がわかります。
この記事を読めば、相続登記にはどんな費用があり、いくらぐらいかかるのかがわかります。
そして自分の場合と照らし合わせて、自分が相続登記する時にいくら費用がかかるのかを計算でき、費用の不安がなく自信をもって相続登記の手続きに臨めるようになるのです。
この記事が、あなたの相続登記のお役に立てば幸いです。
目次
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1.相続登記の費用目安
冒頭でもお伝えしたように、相続登記には様々な費用が掛かるものです。
その費用は、相続する不動産の価値や数によって変わりますが、まずは大体の目安を知っておくと、費用感が掴みやすくなります。
まずは相続登記にかかる費用の目安と、なぜそのくらいの費用になるのかを紹介します。
1-1.相続登記の費用は自分で手続きをするか司法書士に依頼するかで変わる
相続登記の費用の目安は、あくまで一例ではありますが、固定資産税評価額が1,000万円の土地の場合は次の通りです。
上の図でも紹介したように、相続登記の費用は
◎自分で相続登記の手続きをした場合
◎司法書士に依頼した場合
で大きく異なります。
なぜ自分で行う場合と司法書士に依頼する場合で金額が変わるのか、それぞれの費用の内訳をみていきましょう。
1-2.自分で相続登記の手続きをした場合の費用目安
相続登記の手続きをすべて自分で行った場合、相続登記にかかる費用の目安は1,000万円の土地の場合で約5万円です。
何にどれくらいかかるのかの内訳は以下の通りになります。
【1,000万円の土地の場合】
後ほど「4.費用①:相続登記の登録免許税」で詳しく紹介しますが、登録免許税といって、相続登記をする際、国に納める税金が4万円かかります。
これは不動産登記簿に書かれている所有者を相続した人に書き換える手数料のようなものです。
その他必要な書類を発行する費用や交通費などを合わせると、5万円程で相続登記ができます。
1-3.相続登記を司法書士に依頼した場合は12万円
相続登記の手続きを自分で行うのではなく司法書士に依頼した場合、相続登記にかかる費用の目安は、1,000万円の土地の場合で約12万円です。
何にどれくらいかかるのかの内訳は以下の通りになります。
【1,000万円の土地の場合】
まったく同じ条件の相続の場合、登録免許税や必要な書類を発行する費用などは同じになります。
しかし司法書士に相続登記を依頼した場合、司法書士への報酬が必要です。
司法書士への報酬は、依頼した事務所やお住まいの地域によって変わりますが、6万円から7万円が平均額となっています。
先ほど紹介した自分で相続登記した場合にかかる費用5万円に、司法書士への報酬7万円を足した12万円が目安となるのです。
司法書士への報酬については「6.費用③:司法書士への報酬」で詳しく紹介します。
2.相続登記の費用は不動産の価値や数によって変わる
相続登記にかかる費用の目安をご紹介しましたが、その額はあくまで目安です。
相続登記の費用は、相続する不動産の価値がどれくらいかということや、相続する不動産の数によって変わります。
相続登記の費用が、不動産の価値や数で変わる理由を紹介します。
2-1.登録免許税の税額が変わる
相続登記の費用が変わる理由のひとつめは、不動産の価値や数が変わると登録免許税の税額が変わるからです。
相続登記の際に納める登録免許税は、一律ではなく不動産の価値によって変わります。
例えば、相続登記を行う不動産の価値が500万円の場合と3,000万円の場合で考えてみましょう。
◎500万円の不動産の登録免許税は2万円
◎3,000万円の不動産の登録免許税は12万円
登録免許税の税額が変われば、書類の発行手数料や交通費などの実費は同じでも、相続登記にかかる費用が大きく変わってしまいます。
相続登記の登録免許税は、複数の不動産を相続した場合はそれぞれ必要になるため、相続する不動産の数が増えれば、やはり登録免許税の税額は上がります。
ひとつひとつの不動産の価値が少ない場合でも、不動産の数が多ければ合計金額が上がり、相続登記にかかる税額も増えてしまうのです。
2-2.不動産の数が増えると司法書士の報酬も上がる
相続する不動産の数が増えると、その分手続きや必要な書類も増えてしまい、司法書士に支払う報酬も上がってしまいます。
司法書士へ依頼した場合の報酬は、一律で決まっておらず、地域や依頼した司法書士事務所によって異なります。
事務所の中には相続する不動産の数や、相続人の数で報酬が上がる場合もあるのです。
2-3.正確な費用が知りたい場合は計算が必要
自分の場合は相続登記にどれくらいの費用がかかるのかということを正確に知りたい場合は、相続する不動産の価値や数を把握した上で、きちんと計算する必要があります。
なぜなら、先ほど紹介したように、相続する不動産の価値、不動産の数によって費用が大きく変わってきてしまうからです。
自分の場合をきちんと計算せず、インターネットなどの情報で
「相続登記って10万円あればできるみたい」
などと安易に考えていると、実際の費用は予想よりも高く、予算が足りずに慌てることになります。
次の章からは、相続登記にかかる費用にはどのようなものがあるのかと、それぞれの金額や計算方法を紹介していきますので、ぜひ参考にして計算してみましょう。
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3.相続登記には4つの費用がかかる
相続登記にかかる費用を計算するために、まずは相続登記にかかる費用にはどのようなものがあるのかを紹介していきましょう。
相続登記にかかる費用には、大きく分けると4つの費用があります。
相続登記にかかる費用は、次の4つです。
それぞれの費用について詳しく紹介していきます。
3-1.登録免許税
登録免許税とは、相続登記する不動産の登記簿に記載されている所有者を書き換えるために必要な手数料です。
登記簿とは、不動産がどこにあるのか、どんな土地や建物か、大きさ、所有者などが記録されているものです。
ここに所有者として記載されていることで、その不動産が自分のものであると法律上証明することができます。
相続登記とは、この登記簿に記載された所有者を、被相続人(相続する財産を残して亡くなった人)から相続人(財産を相続する人)に書き換えることをいいます。
登録免許税は税金として、法務局に納めます。
登録免許税の税率は、相続登記の場合、不動産の価値の0.4%です。
従って登録免許税は、不動産の価値によって上下します。
例えば
◎500万円の不動産の登録免許税は2万円
◎3,000万円の不動産の登録免許税は12万円
です。
登録免許税の税率や計算方法について詳しくは「4.費用①:相続登記の登録免許税」で解説します。
3-2.必要な書類を発行する費用
相続登記には、被相続人の戸籍謄本や、相続人の住民票などさまざまな書類が必要になります。
それらの書類を発行するには、手数料を支払う必要があります。
必要な書類の種類や枚数は、相続の状況によって変わります。
費用の目安は、相続人一人の場合、2,000円前後です。
相続人の数が多い場合、被相続人の戸籍の移動が多い場合などは、さらに費用が追加されます。
相続登記に必要な書類の一覧や発行手数料については「5.費用②:必要な書類を発行する費用」で詳しく紹介します。
3-3.司法書士への報酬【司法書士に依頼した場合】
相続登記の手続きを司法書士へ依頼した場合は、司法書士への報酬が必要です。
相続登記の場合、司法書士への報酬の相場は全国平均で6万円から7万円です。
司法書士への報酬は、お住まいの地域や依頼した司法書士事務所によって変わります。
また相続の状況により、手続きが複雑になれば報酬も高くなってしまうことがあります。
司法書士への報酬について詳しくは「6.費用③:司法書士への報酬」で解説します。
3-4.その他実費
その他実費には、次のようなものが挙げられます。
- 被相続人が所有している不動産を調査する費用 150円~数千円
- 相続登記の手続きに必要な交通費 1,000円~数万円
- 相続登記の書類を送付するための郵送代 1,000円~5,000円
これらの実費は相続する不動産から自宅までの距離や、相続の状況によって変わります。
その他実費について詳しくは「7.費用④:その他実費」で紹介します。
4.費用①:相続登記の登録免許税
それではここからは、相続登記にかかる費用について詳しく紹介していきます。
それぞれの費用がなんのために必要なのか、どのように計算するのかを知ることで、自分の場合はどれくらいかかるのかを理解していきましょう。
まずは登録免許税について詳しく紹介していきます。
先ほど紹介したように、登録免許税とは不動産登記簿に記載されている不動産の情報を書き換えるための手数料のようなものです。
この章では
◎登録免許税の税率
◎登録免許税の計算に必要な固定資産税評価額の調べ方
◎登録免許税を計算するポイント
◎登録免許税の減免措置
を紹介します。
4-1.相続登記の登録免許税は固定資産税評価額の0.4%
相続登記の場合、登録免許税の税額は、不動産の価額の0.4%です。
不動産の価額とは、固定資産税評価額のことです。
固定資産税評価額とは、不動産に対して納める固定資産税の税額を算出するために決められる不動産の価値のことです。
固定資産税評価額は、土地や家屋をどのように評価するのかということを定めた「固定資産評価基準」をもとに、市町村が決定しています。
実際にその不動産を買ったときの金額や、売却できた額ではありません。
登録免許税の税額を計算するには、まずは固定資産税評価額を調べる必要があるのです。
4-2.固定資産税評価額の調べ方
登録免許税の税額を計算するためには、相続する不動産の固定資産税評価額を知らなくてはいけません。
固定資産税評価額を調べるには次の2つの方法があります。
- 課税明細書を確認する
- 固定資産評価証明書を発行してもらう
4-2-1.課税明細書を確認する
固定資産税を納付する際、課税明細書というものが発行されます。
この課税明細書には、それぞれの不動産の固定資産税評価額が記載されていますから、相続する不動産の課税明細書を確認すれば固定資産税評価額がわかります。
出典:川崎市 登記申請時の固定資産税・都市計画税課税明細書の利用について
4-2-2.固定資産評価証明書を発行してもらう
課税明細書が見つからない場合は、その不動産がある市町村で固定資産評価証明書を発行してもらうことで、固定資産税評価額を調べることができます。
固定資産評価証明書とは、その名の通り固定資産税の評価額を証明するための書類です。
固定資産評価証明書を発行するには、相続する不動産がある市町村の窓口に、必要書類を提出します。
相続のために相続人が固定資産評価証明書を発行するために必要な書類は以下の通りです。
- 申請書
- 申請者本人の本人確認書類
- 被相続人が亡くなっていることを証明する書類(住民票の除票など)
- 相続関係が証明できる書類(戸籍謄本や財産分割協議書など)
相続する不動産が遠い場合は、郵送で書類を送付して手続きすることも可能です。
まずは不動産のある自治体のホームページから申請書をダウンロードし、本人確認書類などと一緒に担当部署へ郵送します。
不明な点があれば電話で市町村の役場の担当窓口へ相談しておくとよいでしょう。
4-3.登録免許税を計算する3つのポイント
相続する不動産の固定資産税評価額がわかれば、登録免許税の税額が計算できます。
相続登記の登録免許税は固定資産税評価額の0.4%ですから、次の計算式で算出できます。
登録免許税を計算する時には、次の3つのポイントに注意してください。
4-3-1.固定資産税評価額は1,000円未満は切り捨て
固定資産税評価額は、1,000円未満は切り捨ててから計算します。
例えば固定資産税評価額が658万4,500円の不動産の場合、
658万4,000円×0.004
で計算するということになります。
4-3-2.計算した登録免許税の100円未満の金額は切り捨て
固定資産税評価額に0.004をかけて算出した額をそのまま登録免許税として納めるのではなく、100円未満の金額は切り捨てた額を登録免許税として納めます。
先ほどの例の場合、
658万4,000円×0.004=26,336
となりますが、26,336円を登録免許税として納めるのではなく、100円未満を切り捨てた26,300円が登録免許税となるのです。
4-3-3.2つ以上相続する時は固定資産税評価額をまとめてから計算
不動産を複数相続する場合は、固定資産税評価額をまとめてから計算します。
例えば、①456万5,600円の土地、②1,000万6,700円の土地の2つを相続する場合、
456万5600円+1,000万6,700円=1,457万2,300円
をまず計算した後、1,000円未満を切り捨てした1,457万2,000円に対して税率0.4%をかけて計算します。
それぞれの固定資産税評価額の1,000円未満の額を切り捨てるのではなく、足してから1,000円未満を切り捨てることを覚えておきましょう。
4-4.令和7年3月31日までは免税措置もある
相続の場合の登録免許税には、令和7年3月31日までに申請した場合は免税措置もあります。
免税措置を利用すると、相続登記の登録免許税の一部を無料にすることが可能です。
免税措置が使えるのは、
- 相続登記をしないまま相続人が亡くなり、次の相続が発生した場合
- 土地の相続であること
の条件を満たす場合です。
家屋の相続には適用されません。
詳しくは法務省のサイトを確認してみましょう。
参考:相続による土地の所有権の移転登記等に対する登録免許税の免税措置について
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5.費用②:必要な書類を発行する費用
相続登記を行う場合の費用の二つ目は、相続登記の申請に必要な書類を発行する費用です。
書類の申請には、それぞれ数百円の発行手数料が必要です。
申請に必要な書類は、相続の状況などによっても異なります。
特に被相続人が本籍の変更を複数回行っている場合などは、必要な書類の枚数が増えてしまい、手数料も多くなります。
こちらもいくら必要か見積もってみましょう。
5-1.相続登記に必要な書類と発行費用一覧
相続登記に必要な書類と発行費用は以下の通りです。
それぞれ費用は異なりますが、一通数百円で発行が可能です。
5-2.書類は1枚で済まない場合もある
複数の相続人がいる場合は、相続人の戸籍謄本、住民票、印鑑証明書は全員分必要となります。
被相続人の戸籍謄本、改製原戸籍は、出生から死亡までを繋げる必要があります。
出生から死亡までの間本籍地を移動していない場合は一通で済みますが、本籍の移動を行っている場合は、移動したすべての本籍がわかるよう取得する必要があります。
相続登記で必要になる書類の枚数や種類は相続の状況によって変わりますが、相続登記を司法書士に依頼した場合は、司法書士が必要な書類を調べて指示してくれます。
自分で相続登記の手続きを行う場合、不明な点があれば、相続する不動産がある法務局に相談すると良いでしょう。
相続登記を自分で行う場合の書類の集め方などについては、詳しく書かれたこちらの記事も参考にしてください。
6.費用③:司法書士への報酬
相続登記の手続きを司法書士へ依頼した場合は、司法書士へ支払う報酬が必要になります。
相続登記を依頼する場合、司法書士へ支払う報酬の相場は全国平均で6万円から7万円です。
司法書士への報酬額は、地域や事務所によって異なりますが、日本司法書士会連合会が行った司法書士への報酬額のアンケートによれば、一番安い場合で3万円弱、高額な場合で12万円弱、平均で6万円から7万円程となっています。
ただし、司法書士への報酬はどこまで頼むかによって大きく変わります。
相続登記の場合、費用が変わるポイントとなるのが
◎遺産分割協議書は自分たちで作成する場合(相続人が一人の場合も含む)
◎遺産分割協議書を作成してもらう場合
の2つのケースです。
それぞれについて詳しくみていきましょう。
6-1.遺産分割協議書は自分たちで作成する場合
相続人が一人しかいない場合や、複数いても遺産分割協議書は自分たちで作成している場合は、相続登記に対する報酬のみとなります。
その場合の費用相場は、先ほど紹介したように全国平均で6万円から7万円です。
ただし、被相続人の戸籍が何度も変わっていて追跡が大変な場合、相続する不動産の数が多い場合など、手続きが難しくなれば報酬が高くなります。
見積もりをお願いする際は、相続人の数や相続する不動産の数を伝えておくと、正確な金額を教えてもらえるので、まずは自分の相続の状況を整理した上で見積依頼をしましょう。
6-2.遺産分割協議書を作成する場合の報酬の相場
相続人が複数いて、遺産分割協議書を作成する場合には、相続登記への報酬に加えて、遺産分割協議書を作成する費用が必要になることがあります。
遺産分割協議書を作成する場合、司法書士へ支払う報酬は不動産の数や相続人の数によって変わりますが、遺産総額の0.3%~1%程度が相場です。
遺産総額が1,000万円の場合であれば3万円から5万円程度が目安となります。
つまり、通常の報酬と合わせて9万円から13万円を司法書士に支払わなくてはなりません。
相続登記の手続きを依頼している場合で、相続の状況が複雑でなければ、遺産分割協議書の作成も相続登記の報酬に含めてくれる場合もあります。
遺産分割協議書の作成をお願いしたい場合は、最初に司法書士事務所へ見積もりを依頼する場合にそのことを伝えておくと良いでしょう。
6-3.見積書の見方
司法書士事務所から見積もりを貰ったら、以下のような点を確認します。
- 報酬額となっている金額は妥当か
- 費用の種別の中に必要ない項目は含まれていないか(遺産分割協議書は自分たちで作成するのに費用に盛り込まれているなど)
- その他不明な点はないか
報酬額とは、司法書士が手続きを行うことに対して支払う費用です。
次の見積書の見本を見てみましょう。
赤枠で囲った部分が報酬額で、司法書士事務所によって価格が異なります。
赤枠の右側の部分、「登録免許税または印紙税」となっている部分は、法務局などに納める登録免許税のため、どの事務所に依頼しても同じになります。
費用の種別とは、どのような手続きにどれくらい費用がかかるかという部分です。
「所有権移転登記」「遺産分割協議書作成」など、司法書士が行った手続きそれぞれに対して報酬や、必要となる登録免許税などが記載されます。
その他見積もりに不明な点があれば、司法書士事務所にどのような費用なのかを確認し、納得できる事務所に依頼しましょう。
6-4.どこまで依頼するかで報酬は変わる
司法書士に支払う報酬は、手続きをどこまで依頼するかで変わります。
例えば手続きに必要な書類のうち、印鑑証明以外は司法書士が代理で収集することが可能です。
必要な書類すべてを司法書士に集めてもらう場合は、費用が高くなります。
どれくらい高くなるかは司法書士事務所によって違います。
◎取得する書類1通につき数百円から2,000円
◎書類一式取得する手数料として数千円から数万円
というように、書類一通ごとに報酬額が設定されている場合と、まとめて一式定額で設定されている場合があります。
どちらがお得かは集めなくてはならない書類の数によっても変わりますから、まずは見積書で確認してみましょう。
逆に必要書類はすべて相続人が集めた上で、登記の申請書類の作成のみを依頼するのであれば、手間はかかりますが報酬を抑えることが可能です。
自分がどこまで手続きができるかを考えた上で、依頼する範囲を決めましょう。
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7.費用④:その他実費
相続登記にかかる費用には、その他実費としてかかるものがあります。
その他実費としてかかる費用は以下の通りです。
- 被相続人が所有している不動産を調査する費用
- 相続登記の手続きに必要な交通費
- 相続登記の書類を送付するための郵送代
それぞれの費用についてみていきましょう。
7-1.不動産を調査する費用
被相続人が複数の不動産を所有している場合などで、相続の対象となるすべての不動産の情報が把握できていない場合は、不動産がどれだけあるか調査する費用が必要です。
不動産を調査するには、まず、市町村から毎年送られてくる固定資産税の納付書を確認します。
固定資産税の納付書が見当たらない場合、被相続人がどれくらい不動産を所有していたかが不明な場合などは、「名寄帳」を確認します。
これは被相続人が所有していた不動産が一覧になって記載されているもので、不動産のある市町村で申請して取得することができます。
名寄帳の取得には、150円~300円の手数料が必要です。
7-2.交通費
自分で相続登記の手続きを行う場合は、法務局や必要書類を取得するために訪れる市町村役場への交通費が必要になります。
手続きを行う法務局は相続人の自宅の近くの法務局ではなく、不動産がある地域を所轄する法務局です。
そのため、遠方の不動産を相続する場合は交通費も高くなってしまいます。
相続登記の手続きはオンラインや郵送で行うことも可能ですから、交通費が高額になる場合はそちらの方法を選ぶと良いでしょう。
7-3.郵送代
郵送で相続登記の手続きを行う場合や、戸籍謄本などの必要書類を郵送で取得する場合など、郵送代も必要になります。
郵送で手続きする書類が多い場合などは郵送代も増えていきますから、ある程度予算として考えておくのをおすすめします。
8.【計算例】相続登記にかかる費用のシミュレーション
相続登記にかかる費用についてわかったところで、実際にどれくらいの費用が必要になるのか、具体的な例を挙げてシミュレーションしてみましょう。
今回計算するのは次の様な場合です。
相続する不動産:実家のマンション 1室
被相続人(亡くなった人):父親
相続人(相続する人):長男(自分)
相続する不動産の固定資産税評価額:1,500万2,630円
では、実際に計算していきましょう。
8-1.登録免許税
まずは登録免許税を計算しましょう。
登録免許税の税額は次の計算式で計算できます。
固定資産税評価額は、1,000円未満の額を切り捨ててから計算します。
計算式に当てはめると次のようになります。
1,500万2,000円×0.004=60,008円
算出した登録免許税の税額は、100円未満の額は切り捨てます。
今回のケースで納める登録免許税は60,000円です。
8-2.必要な書類を発行する費用
必要な書類を発行する費用は、被相続人の結婚歴や本籍の移動があったかなかったか、相続人の人数などによって変わります。
今回は被相続人の書類として
- 戸籍謄本1通 450円
- 除籍謄本1通 750円
- 住民票の除票1通 300円
相続人の書類として
- 戸籍謄本1通 450円
- 住民票1通 300円
の5通の書類を発行したとします。
合計金額は2,250円です。
8-3.司法書士への報酬
司法書士へ手続きを依頼した場合には、報酬が必要になります。
今回は相続する不動産が1軒、相続人も一人というケースですので、平均額で収まると考えて、司法書士への報酬は7万円とします。
8-4.その他実費
相続の対象となる不動産は実家であったマンション1軒で、他に相続対象となる不動産もなかったため、不動産を調査する費用はありません。
司法書士へ手続きを依頼したため、交通費もかかりません。
郵送代は司法書士へ必要書類を郵送した時にかかったとして1,000円を計上します。
8-5.費用のまとめ
今回のシミュレーションの場合に相続登記にかかる費用をすべてまとめると、次のようになります。
合計すると、13万3,250円となりました。
ただし、司法書士へ依頼せず、すべての手続きを自分で行った場合は、63,250円です。
自分で手続きを行った場合は、費用は約半分になります。
費用の面では自分で手続きを行った方が安く収まりますが、手続きをすべて自分で行うため手間と時間はかかります。
司法書士へ依頼するか、自分でやるか、どちらがよいかは次の章で解説します。
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9.相続登記を司法書士に依頼したほうがいいケース
相続登記にかかる費用は、自分で相続登記の手続きを行えば司法書士へ依頼するよりもかなり安く抑えることができます。
しかし、相続の状況によっては手続きがかなり大変になってしまうため、報酬はかかっても司法書士へ依頼する方がよい場合もあります。
相続登記を司法書士へ依頼した方がいいケースは次の5つです。
- 相続する人数が多い・遠方に住んでいる
- 不動産の数が多い
- 不動産の権利関係が複雑
- 遺産が複数種類あり遺産分割協議書を作成して欲しい
- 配偶者居住権を設定したい
それぞれについて詳しく紹介します。
9-1.相続する人数が多い・遠方に住んでいる
相続人の数が多い場合や、相続人が遠方に住んでいる場合は手続きが大変になるため、司法書士へ依頼するのがおすすめです。
相続人が多い場合、必要となる書類も多くなってしまいます。
相続人全員の住民票や戸籍謄本、印鑑証明を取得するだけでも大変です。
全員が協力的であればよいのですが、非協力的な人がいたり、体調不良などの理由で書類を集めることが難しい場合などもあり、スムーズにはいきません。
また、相続人の中に海外など遠方に住んでいる人がいる場合も、自分で相続手続きを行うのが難しくなってしまいます。
このようなケースでは、司法書士へ依頼し、書類の収集からお願いすることで相続登記をスムーズに進めることがおすすめです。
9-2.不動産の数が多い
相続登記を行う不動産の数が多い場合も、司法書士へ依頼するのがおすすめです。
被相続人が所有している不動産の数が多い場合、それぞれの不動産の固定資産税評価額を調べるだけでも手間がかかります。
また、被相続人が所有していた不動産の数が分からない場合は、名寄帳を取り寄せるなどの調査が必要になるため、より手続きが複雑になるのです。
所有していた不動産の数がわかっても、不動産の数が多ければ、それだけ作成する申請書や用意する書類の数も多くなってしまいます。
不動産の数が多く、手続きが複雑になる場合は、プロである司法書士へ依頼するのがよいでしょう。
9-3.不動産の権利関係が複雑
相続登記を行う不動産が、被相続人と他の人との共有名義になっている場合など、不動産の権利関係が複雑な場合も司法書士へ依頼するのがおすすめです。
他の人との共有名義になっている不動産を相続登記する場合、所有権移転登記ではなく、持ち分の移転登記となります。
登録免許税の税額も持ち分に応じた額になるなど、通常の相続登記とは異なる計算となり、手続きが複雑です。
この場合は司法書士に依頼して、きちんと対応してもらうことがおすすめとなります。
不動産の権利関係は、相続する不動産の登記簿を確認すればわかります。
まずは相続する不動産の登記簿を取得して、権利関係などを確認しておきましょう。
9-4.遺産が複数種類あり遺産分割協議書を作成して欲しい
遺産分割協議書を作成して欲しい場合も、司法書士に依頼するのがおすすめです。
遺産分割協議書とは、被相続人の遺産を相続人でどのように分割するのかということが記載された書類です。
不動産だけでなく、預貯金や自動車などの動産など、被相続人が所有していた財産すべてをどのように分割して相続するのかを記載します。
遺産分割協議書は自分達でも作成することはできますが、遺産を正確に記載しなくてはならず、相続する財産が多い場合などはかなりの手間がかかる作業です。
また、遺産分割をどのようにするかを決定するのも、スムーズに行えるとは限りません。
ある程度遺産がある場合は、あらかじめ司法書士などのプロに依頼し、きちんとした手続きを行ってもらうことで揉める可能性が少なくなります。
9-5.配偶者居住権を設定したい
配偶者居住権を設定したい場合も、司法書士へ依頼するのがおすすめです。
配偶者居住権とは、夫婦の一方が亡くなった場合、残された配偶者がそのまま家に住み続けることができるように、居住権を設定することです。
居住権を取得した場合、最低でも6ヶ月はそのまま無償で家に住み続けることができます。
配偶者居住権を設定したい場合は、通常の相続登記とは違う確認事項などもあるため、司法書士に依頼して手続きを行うことがおすすめです。
10.相続登記の費用を抑えるには自分で行うのもおすすめ
相続登記の費用を抑えたい場合は、自分で相続登記の手続きを行うのもおすすめです。
相続登記の手続きを自分で行うメリットとデメリットを紹介します。
10-1.相続登記の手続きを自分で行うメリット
相続登記の手続きを自分で行う最大のメリットは、費用が安く済むという点です。
シミュレーションでも紹介したように、相続登記の手続きを自分で行った場合は、相続登記にかかる費用が約半額になる場合もあります。
特に大きく違うのが、司法書士への報酬が発生しないという点です。
「9.相続登記を司法書士に依頼したほうがいいケース」で挙げたような相続登記の手続きが複雑な場合ではなく、実家1軒など相続する不動産が少ない場合などは、自分で手続きを行ってもよいでしょう。
ただし、自分で行うとなると書類を集めるところから、登記申請書の作成、書類の提出まで数週間から数カ月かかります。
手続きには時間と手間がかかりますから、なるべく早めに始めましょう。
相続登記を自分で行う場合の手続きなどについては詳しく書かれたこちらの記事で詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてください。
10-2.相続登記の手続きを自分で行うデメリット
相続登記の手続きを自分で行うデメリットは時間と手間がかかってしまうという点です。
書類の発行をする役所は平日日中しか手続きできないため、特に仕事をしている人の場合、休みを取らなくてはならず大変です。
手続きをする役所が遠方にあれば、それだけ時間がかかります。
自分で行う場合、時間と手間がかかることを覚悟しておきましょう。
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11.相続登記の費用に関するQ&A
相続登記の費用に関して、疑問に思う人が多い項目をQ&A方式で紹介します。
相続登記の費用を計算する際の参考にしてみてください。
11-1.相続登記の費用は誰が負担するの?
登録免許税など相続登記にかかる費用を誰が負担するかは法律上では定められていませんが、不動産を相続する人が負担するのが一般的です。
司法書士への報酬も、不動産を相続する人が支払います。
ひとつの不動産を複数人の共有名義にする場合は、持ち分に応じて費用負担します。
例えば実家を妻が2分の1、子供二人がそれぞれ4分の1ずつという法定相続分に応じて相続する場合、相続登記にかかる費用も、妻2分の1、子ども二人がそれぞれ4分の1ずつ負担するのが一般的な費用分担になります。
11-2.相続登記の費用が払えない場合はどうすればいいの?
相続登記の費用は、不動産の価値よりも必ず低い額になるように税率などが定められています。
相続登記の費用がどうしても捻出できない場合、相続した不動産を売却すれば、支払った費用を取り戻すことが可能です。
司法書士への報酬については、売却時の所有権移転登記などを同時に依頼することで、売却後に報酬を支払う形に出来ないか相談することができます。
まずは自分の場合、どれくらい費用が必要になるか計算し、必要であれば相続した不動産の売却を検討してみてください。
11-3.相続登記をしないままだとどうなるの?
相続登記は、2024年から義務化され、不動産を相続したことを知った日から3年以内に正当な理由なく相続登記しなかった場合には10万円以下の過料が発生します。
相続登記には、登録免許税を始め様々な費用がかかりますが、費用がかかるからといってそのままにしておけば、さらに過料まで支払うことになってしまうのです。
不動産を相続したら、なるべく早めに相続登記するようにしましょう。
12.まとめ
相続登記にかかる費用についてご紹介しました。
相続登記には、登録免許税をはじめとして様々な費用がかかります。
しかし、費用がかかるからといって相続登記を行わないままだと、過料が発生してしまいます。
また時間がたてばたつほど、必要な書類を集めるのが難しくなるなど、手続きが複雑になることもあります。
不動産を相続したら、なるべく早めに相続登記を行うようにしましょう。
最後に相続登記の費用についてまとめておきます。
◎相続登記にかかる費用は、相続した不動産の価値や数によって変わる
相続登記にかかる費用は、相続する不動産の価値がどれくらいかということや、相続する不動産の数によって変わります。
◎相続登記には4つの費用がかかる
相続登記にかかる費用は、次の4つがあります。
◎登録免許税は固定資産税評価額の0.4%
登録免許税の税額を計算するには次の計算式を使います。
登録免許税の税額を計算するには、次の3つのポイントに注意して下さい。
◎必要な書類を発行する費用
相続登記に必要な書類と、発行するために必要な手数料は以下の通りです。
◎司法書士への報酬
司法書士へ相続登記を依頼した場合の報酬の相場は全国平均で6万円から7万円です。
遺産分割協議書を作成する場合、司法書士へ支払う報酬は不動産の数や相続人の数によって変わりますが、遺産総額の0.3%~1%程度が相場です。
◎その他実費
その他実費としてかかる費用には
- 被相続人が所有している不動産を調査する費用
- 相続登記の手続きに必要な交通費
- 相続登記の書類を送付するための郵送代
があります。
◎相続登記を司法書士に依頼したほうがいいケース
相続登記を司法書士へ依頼した方がいいケースは次の5つです。
- 相続する人数が多い・遠方に住んでいる
- 不動産の数が多い
- 不動産の権利関係が複雑
- 遺産分割協議書を作成して欲しい
- 配偶者居住権を設定したい
◎相続登記の費用を抑えるには自分でやるのも◎
司法書士に依頼した方がいいケースに当てはまらない、相続する不動産が1軒のみなどの場合は自分で相続登記の手続きを行うことで費用を抑えることができます。
この記事が、あなたの相続登記をスムーズに進めるためのお役に立てば幸いです。
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