相続登記は自分でできる!専門家に依頼せずに手続きする方法を解説
「相続登記って自分でできるの?」
「相続登記ってどこで何をすればいいの?」
「相続登記を自分で行う具体的な手続きや費用について知りたい」
など、あなたは今、相続登記を自分で行うことを検討していませんか?
相続登記は司法書士などの専門家に依頼しなくても、自分で行うことができます。
相続登記のための申請書に必要事項を記載し、各種証明書類と登録免許税分の収入印紙を添付し、法務局に提出すれば手続きは完了します。
しかし、多くの人にとって慣れない手続きであることや、提出すべき書類が膨大になることから、司法書士など専門家に依頼する人も多いです。
特に、叔父叔母から相続する場合や、相続人の中に未成年や障害を持つ人がいるなど特殊な場合には、手続きが複雑になるため、最初から専門家に依頼した方がいいでしょう。
とはいえ、司法書士に依頼すれば、実費以外に5万円から10万円の報酬がかかるため、「自分でできるなら自分でやりたい」「特殊な相続ではないから自分でできるのでは?」と考える人も多いはずです。
そこで、本記事では、
- 相続登記は自分でできる
- 相続登記の手続きを専門家に依頼した方が良いパターン
- 相続登記を自分で行う際の費用について解説
- 相続登記の大きな3つの種類について解説
- 自分で相続登記手続きを行う際の具体的な流れについて解説
- 相続登記を自分で行う際のQ&A
など、自分で手続きを行うより専門家に依頼した方がいいパターンを把握してもらった上で、具体的な相続登記の手続き方法について徹底的に解説していきます。
「最初から専門家に頼めばよかった」「簡単そうだから自分でやればよかった」と後悔しないよう、本記事を読んで自分で手続きを行うかどうかの判断をしていただければと思います。
また、特殊な相続や複雑な相続でない限り、本記事に従えば誰でも相続登記の手続きを進めていくことができるので、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
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1.相続登記は自分で行うことができる
上述した通り、相続登記は自分で行うことができます。
相続登記は、亡くなった方から相続人へ不動産の所有権を移転する手続きのことを指しますが、弁護士や司法書士などの専門家に依頼しなくても自分でできます。
自分で申請書に必要事項を記載し、各種証明書類と登録免許税分の収入印紙を添付し、法務局に提出すれば手続きは完了です。
相続が発生した際には、他の手続きなどで忙しくなるということもあり、多くの人が専門家に依頼していますが、実際には、特殊事情がなければ誰でもできる手続きです。
すでに他の手続きで戸籍を取り寄せている人も多いはずなので、あとは、不動産の特定と申請書の記載、登録免許税の計算で手続きは完了します。
もし、間違いがあったとしても、法務局から補正や取下を依頼する連絡がくるので、心配しすぎる必要はありません。もちろん法務局に直接、もしくは電話などで相談することも可能です。
司法書士への報酬は登録免許税や書類の取得費用といった実費を除いて、一般的に5万円から10万円程度になるため、「高い」「もったいない」と感じるのであれば自分で相続登記を行うことを検討しても良いでしょう。
ただ、手続きが非常に複雑になるために、最初から司法書士などの専門家に依頼した方がいいというパターンも存在します。そのため、後から「やっぱり専門家に依頼しておけばよかった」とならないよう、次章でそれらのパターンを確認しておきましょう。
2.相続登記の手続きを専門家に依頼した方が良いパターン
「相続登記は自分でできる」とお伝えしましたが、相続のパターンや状況によっては、最初から専門家に依頼した方が良いものもあります。
特に、下記のような場合には、専門家に手続きを依頼することをおすすめします。
- 兄弟や甥姪が相続人の場合
- 数次相続や代襲相続の場合
- 特殊な手続きを要する場合
- 相続人同士が不仲である場合
- 忙しく手続きにかける時間がない場合
ひとつひとつ解説していきますね。
2-1.兄弟や甥姪が相続人の場合
亡くなった方「被相続人」の配偶者や子供ではなく、兄弟姉妹や甥姪が相続人の場合には、専門家へ手続きをお願いした方が良いでしょう。
なぜなら、兄弟や甥姪が相続人であることを証明するため、添付する戸籍謄本が多くなるからです。
例えば、被相続人の兄弟姉妹が不動産を相続する場合には、少なくとも下記の書類が必要になります。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
子供など第一順位の相続人がいないかどうかの証明
- 被相続人の両親(場合によっては祖父母)の出生から死亡までの戸籍謄本
第二順位の相続人である両親の死亡の事実と他の兄弟姉妹の存在証明
- 各相続人の最新の戸籍
相続人が現在も存在していることの証明
相続順位が後順位になればなるほど、先の順位の相続人がいないことを証明するために集める書類が増えてしまいます。
これらのことから、兄弟姉妹や甥姪が相続する場合には、専門家に依頼した方が迅速に手続きを進めることができるでしょう。
2-2.数次相続や代襲相続の場合
数次相続や代襲相続の場合にも、手続きが複雑になるので専門家に依頼した方が賢明でしょう。
数次相続とは、被相続人が死亡した後に相続人が死亡してしまった場合のことで、例えば、祖父が死亡した後、相続人である父が死亡し、祖父の孫が相続人になるパターンが数次相続に当たります。
一方、代襲相続とは、被相続人が死亡する前に相続人が死亡している場合のことで、例えば、祖父が死亡する前に、相続人である父が死亡し、祖父の孫が相続人になるパターンなどがあげられます。
このような場合には、そもそも相続人を特定するのが難しい上に、前項同様、先の順位の相続人がいないことを証明するため集める戸籍の量が膨大になります。
そのため、専門家に依頼した方が手続きはスムーズに進むでしょう。
2-3.特殊な手続きを要する場合
前項までで紹介した相続以外にも、特殊な手続きを要する場合には専門家へ依頼することをおすすめします。
例えば、下記のようなパターンがあげられます。
- 代償分割や換価分割
代償分割とは、一部の相続人が土地を相続し、他の相続人に相続分の金銭の支払いをするという方法。
換価分割とは、相続した土地を売却して得られた現金を相続人で分割する方法。
どちらとも贈与税がかかるなど、専門的な知識がないとスムーズに手続きが進まないため、専門家に相談することをおすすめします。
- 被相続人に非嫡出子がいる場合
トラブルが起きやすいため専門家に相談することをおすすめします。
- 相続人の中に未成年がいる場合
家庭裁判所を通して「特別代理人」の選任などを行う必要があるため、専門家に相談した方が良いでしょう。
- 相続人の中に障害者がいる場合
家庭裁判所を通して「成年後見人」の選任などを行う必要があるため、専門家に相談した方が良いでしょう。
上記のような、特殊な手続きを要する相続登記手続きの場合、最初から専門家へ依頼することをおすすめします。
2-4.相続人同士が不仲である場合
相続人同士が不仲である場合、専門家に依頼した方が手続きを迅速に進められます。
相続登記の手続きを進めていく中では、遺産分割協議や協力して戸籍を取得することなど、相続人同士でうまく連携していかなければならないシーンが多くあります。
そのため、相続人同士が不仲である場合には、相談やお願いをする度にストレスになり、最悪の場合にはトラブルが発生することも考えられます。
これらのことから、相続人同士が不仲である場合には、第三者である専門家に間に立ってもらい、淡々と手続きを進めてもらった方が良いでしょう。
2-5.忙しく手続きにかける時間がない場合
相続登記にかけられる時間があまりないという人も、専門家に依頼してしまった方が良いでしょう。
特に、不動産を売却する予定である場合には、自分で戸籍を集めたり、法務局から修正依頼をされたりしていると、時間がかかって売却できる日がどんどん遅くなってしまうこともあります。
申請書の記載、遺産分割協議の流れ、戸籍や住民票の取得など、自分でできないことはないですが、どれも一般的には慣れないことであるため、急いでいる場合には、最初から専門家に頼んでしまった方が迅速に手続きを完了させられるでしょう。
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3.相続登記を自分で行う際の費用について解説
「相続登記を自分で行う場合、費用はいくらくらいかかるの?」と疑問を持つ人に向けて、相続登記の費用について詳しく紹介していきます。
相続登記を自分で行う場合には、以下の2種類の費用がかかることになります。
- 登録免許税
- 各種書類取得にかかる費用
それぞれの内容について詳しく紹介していきます。また、専門家に依頼した場合の費用についても参考までに解説していくので、自分で手続きを行う場合の費用負担と比較してみてくださいね。
3-1.登録免許税
相続登記を自分で行う際に、必ずかかる費用として、登録免許税があげられます。登録免許税とは、相続登記に伴って発生する国への税金のことです。
登録免許税を計算した上で、金額分の収入印紙を法務局へ提出する申請書に添付して納付する形が一般的です。
税額は、下記のように計算されます。
登録免許税=「固定資産税評価額×0.4%」
固定資産税評価額は「固定資産評価証明書」で確認することができ、例えば、不動産の評価額が1000万円の場合には、4万円の登録免許税を納付することになります。不動産が複数ある場合には、全ての不動産の評価額を合算して計算します。
収入印紙は郵便局で購入可能です。
登録免許税を計算する際には、下記の点に注意してくださいね。
- 最新の評価額で計算する
- 課税価格は1,000円未満切り捨て
- 登録免許税は100円未満切り捨て
- 収入印紙に消印はしない
3-2.各種書類取得にかかる費用
相続登記を自分で行う場合には、戸籍や住民票など申請に必要な各種書類も自分で準備しなければなりません。
相続登記に必要な主な書類を取得するためにかかる費用の目安は下記の通りです。
- 登記簿謄本(1通600円)
- 戸籍謄本(1通450円)
- 住民票(1通300円)
- 印鑑証明書(1通300円)
- 固定資産評価証明書(1通300円)
※自治体によって異なることがあります。
人によって集める戸籍や住民票の枚数は変わりますが、一般的には、5000円以内に収まることがほとんどではないでしょうか。
住民票や戸籍などは、返却を求めることが可能なので、他の相続手続きにも使うことができます。
3-3.【参考】司法書士に依頼する場合の費用
参考までに、相続登記を専門家に依頼した場合の費用について解説していきます。
前項までに紹介した、登録免許税と各種証明書類の取得費用は、いわば実費になります。そして、専門家に依頼する場合には、実費に加えて、5万円から10万円の費用がかかることが多いです。
遺産分割協議や戸籍収集まで依頼するのか、相続人が何人いるのか、どのような相続形態なのかによっても変わってくるので、あくまで目安の金額になります。
4.相続登記の大きな3つの種類について解説
相続登記を自分で行う際の具体的な手続き方法について解説する前に、相続原因について整理しておきましょう。
相続登記と一口で言っても何を原因として行うのかは人それぞれ異なり、種類ごとに揃える書類や手続きが変わってきます。そのため、下記の3種類の内、自分がどのパターンに当たるのかを確認した上で、手続きに移行しましょう。
- 遺産分割協議
- 遺言書
- 法定相続
4-1.遺産分割協議
遺産分割協議によって、相続登記を行う場合について解説していきます。
遺産分割協議による相続というのは、相続人全員での話し合いで、不動産を相続する人を決めることです。
例えば、被相続人の妻と子供が相続人に該当する場合に、妻と子供の話し合いで、不動産を単独で子供に相続するような場合があげられます。
その場合、遺産分割協議がなされたことを証明するため、相続登記の申請書や必要書類とともに、遺産分割協議書を提出する必要があります。
さらに、遺産分割協議書には相続人全員の署名と捺印が必須で、別途、印鑑証明書を提出しなければなりません。
4-2.遺言書
被相続人の遺言書に基づいて、相続登記を行う場合もあります。
「私は私の所有する別紙記載の不動産を妻Aに相続する」といった内容が書かれた遺言書が存在していれば、遺言書の通りに相続登記を行うのが原則です。
遺言書には、自筆証書遺言と公正証書遺言の2つの種類が存在しますが、自筆証書遺言の場合には、家庭裁判所での検認手続きが必要なので注意してください。
ただ、遺言書があったとしても、相続人全員による遺産分割協議で合意が取れれば、別の相続人を選ぶことも可能です。
4-3.法定相続
法定相続分どおりに、相続登記を行う場合もあります。
法定相続とは、民法に規定された通りの割合に従って相続を行うことです。遺言書が存在せず、遺産分割協議にて意見がまとまらなかった場合に、最後に選択されることが多いです。
例えば、被相続人の妻と子供のみが相続人であった場合、法定相続は二分の一ずつと決まっているため、不動産を二分の一ずつ共有で相続する形になります。
法定相続の一例としては、下記を参考にしてみてください。
- 子供がいる場合
配偶者1/2、子供1/2
- 子供がいない場合
配偶者2/3、直系尊属(親や祖父)1/3
- 子供も直系尊属(親や祖父)がいない場合
配偶者3/4、兄弟姉妹1/4
法定相続をする場合には、通常、共有して不動産を所有することになりますが、共有の場合には、不動産を売却する際などに全員の同意が必要だったり、次の相続が複雑になったりなどデメリットが多いです。
そのため、手続き面を考えると、法定相続よりは遺産分割協議によって、1人の相続人が不動産を相続するよう調整することがおすすめです。
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5.自分で相続登記手続きを行う際の具体的な流れについて解説
自分で相続登記の手続きを行うための具体的な流れについて解説していきます。
STEP1:相続不動産の特定
STEP2:被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を集める
STEP3:不動産を相続する人を決める
STEP4:遺産分割協議書の作成
STEP5:所有権移転登記申請書を作成する
STEP6:被相続人の戸籍謄本以外の必要書類を揃える
STEP7:登録免許税分の収入印紙を添付
STEP8:所有権移転登記申請書と必要書類を法務局へ提出
上記の通り、準備していけば、相続登記の手続きを完了させることができるので、ぜひ参考にしてくださいね。
5-1.相続不動産の特定
相続登記の手続きの中で、1番最初に行うべきことは相続不動産の特定です。
「相続する不動産のことは知っている」と思った人も多いかもしれませんが、ここでは、他に相続するべき不動産がないかや、相続不動産の情報の確認をしておく必要があります。
被相続人が所有していた不動産の中で相続手続きを怠っていたものが後々見つかると、トラブルにつながりかねません。
そのため、固定資産税納税通知書や不動産登記事項証明書(登記簿謄本)などから被相続人所有の不動産を全て特定していきましょう。
注意点としては、建物と土地は別の不動産として登記されていることと、ひとつの土地に見えても数筆に分かれていることもあるという点です。
上記の場合には、不動産それぞれに登記簿謄本が作成されるため、複数の登記簿謄本を取り寄せる必要があります。
そして、登記簿謄本を見れば、不動産の状況、例えば「単独所有であること」や「抵当権が抹消されていること」などが分かります。
共有不動産であったり、抵当権が設定されていたりすると特殊な手続きが必要になるため、不動産情報を必ず確認しておきましょう。
【相続不動産を特定するために参考にすべきもの】
- 固定資産税納税通知書
- 不動産登記事項証明書(登記簿謄本)
- 登記済権利証
- 名寄帳
5-2.被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を集める
相続不動産を特定したあとは、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を集めましょう。ここが1番手間と時間のかかるステップとなることが多いです。
戸籍謄本は、法制度や本籍地が変わるごとに新しい戸籍が作られているので、最新の戸籍謄本から遡っていく形で、全ての戸籍謄本を取り寄せます。
最新の戸籍謄本を取り寄せ、以前の本籍地を確認し、以前の本籍地の役所で戸籍謄本を取得し、ということを繰り返していきましょう。
また、ここで被相続人の戸籍の附票も取得しておくことをおすすめします。
戸籍の附票とは、被相続人のこれまでの住所が記載してある証明書のことです。これは、登記簿謄本上の被相続人と戸籍謄本上の被相続人が同一人物であることを確かめるために必要な書類になります。
5-3.不動産を相続する人を決める
次に、不動産を誰が相続するのかを決めましょう。
前項のステップで被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得しましたが、これで、相続人に該当する人物を確定できます。
被相続人に家族が知らない非嫡出子や養子がいる可能性もあるので、よく戸籍を確認しましょう。他に相続人がいた場合、その相続人抜きで行われた遺産分割協議は無効になるので注意が必要です。
どちらにしろ、家族が知らない相続人がいた場合には、トラブルにつながる可能性が高いので、専門家へ相続登記の依頼をした方が良いでしょう。
そういった特殊な事情がなければ、相続人全員で話し合い、不動産を相続する人物を決めていきます。一般的には、相続人の内の1人が不動産を相続することが多いです。
5-4.遺産分割協議書の作成
相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議とは、被相続人の財産をどのように分割するかを相続人全員で話し合うことです。
例えば、被相続人の配偶者と子供Aのみが相続人で、子供Aが1人で不動産を相続することになった場合、配偶者と子供Aで遺産分割協議を行ったことを証明する書類を提出する必要があります。
相続登記の手続きを行う際に、子供Aが相続権利のある配偶者に黙って勝手に相続したのではないことを証明しなければならないのです。
遺産分割協議書には下記のような項目を記載し、相続人全員で署名・捺印をします。また、印鑑が本人のものであることを証明するため、相続人全員の印鑑証明書を添付する必要があります。
【遺産分割協議書の項目】
- 被相続人の氏名、本籍、最後の住所、登記上の住所、生年月日、死亡日など
- 相続の内容
- 相続人全員の署名と実印での押印
- 不動産情報
遺産分割協議書のフォーマットは、法務局のHPの「20)所有権移転登記申請書(相続・遺産分割)」の記載例でも確認できるので、ぜひ参考にしてみてください。
もし、遺言書を残していた場合には、基本的には遺言書に従うべきであるため、遺産分割協議書の代わりに遺言書を添付することになります。
ただ、たとえ遺言書があっても、相続人全員の合意があれば、遺産分割協議で不動産を相続する人物を決定することも可能です。
5-5.所有権移転登記申請書を作成する
確認すべき事項や必要書類が出揃ってきたところで、所有権移転登記申請書を作成していきましょう。
用紙は法務局のHPからダウンロードできますし、近くの法務局でもらうことも可能です。
法務局のHPは下記のように相続の原因ごとにフォーマットを用意しているので、該当のフォーマットをダウンロードし、記載例を参考にしながら作成していきましょう。
- 遺言書による相続登記
17)所有権移転登記申請書(相続・公正証書遺言)
18)所有権移転登記申請書(相続・自筆証書遺言)
・法定相続による相続登記
19)所有権移転登記申請書(相続・法定相続)
- 遺産分割協議書による相続登記
20)所有権移転登記申請書(相続・遺産分割)
21)所有権移転登記申請書(相続・遺産分割)(数次相続)
フォーマットに従い、記載例を参考に項目を埋めていけば、特段難しいところはありません。
分からないことがあれば、お近くの法務局の窓口に出向いて相談するか、もしくは電話やメールにて問い合わせをしてみましょう。
【参考】
- 不動産登記の申請書様式|法務局
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html
- 申請又は申請書作成の相談(管轄の法務局へ)
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html
5-6.被相続人の戸籍謄本以外の必要書類を揃える
被相続人の戸籍謄本以外の必要書類を揃えていきましょう。所有権移転登記申請書に記載された事実を証明するための各種書類が必要になります。
具体的には下記のような書類が必要になります。
- 被相続人の住民票(住民票除票)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人(不動産を相続する人)の住民票
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
- 固定資産評価証明書
基本的には上記の書類が必要になります。遺言による相続であれば、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明書のかわりに遺言書を提出する形になります。
また、注意点としては、戸籍は誰でも取得できるわけではなく、
- 自己が記載されている戸籍
- 自己の配偶者の戸籍
- 自己の直系血族の戸籍
のみしか取得できません。
つまり、兄弟姉妹の戸籍を取得する際には、場合によっては委任状などが必要となるため、手分けして書類を集めることをおすすめします。
5-7.登録免許税分の収入印紙を添付
所有権移転登記申請書の記載が終わり、必要書類を添付したら、最後に登録免許税分の収入印紙を申請書に貼り付けましょう。
上述した通り、登録免許税とは、登記する際に国に納める税金のことで、金額は「固定資産税評価額×0.4%」で算出されます。
固定資産税評価額は固定資産税の課税明細書で確認することができますが、できれば「固定資産評価証明書」を取得した方が確実な証明になるのでおすすめです。
「固定資産評価証明書」は、不動産の所在地を管轄する市区町村で取得できます。なお、収入印紙は郵便局で購入可能です。
登録免許税を計算する際の注意点としては、下記の通りです。
- 最新の評価額で計算する
- 課税価格は1,000円未満切り捨て
- 登録免許税は100円未満切り捨て
- 収入印紙に消印はしない
5-8.所有権移転登記申請書と必要書類を法務局へ提出
最後に、所有権移転登記申請書と必要書類を法務局に提出して、手続きは終了です。
不動産所在地の管轄法務局に提出することになりますが、管轄法務局が分からない場合には「不動産の住所 管轄法務局」という形で検索して調べましょう。
提出方法としては、直接、もしくは郵送で提出する形になります。
オンラインでの提出も可能ですが、ソフトのインストールや電子証明書の取得などが必要になるので、少し難しく感じる人もいるかもしれません。
オンラインでの提出について、詳しくは、法務省のホームページに書かれているので、検討している人は確認してみてください。
6.相続登記を自分で行う際のQ&A
相続登記を自分で行う際に疑問に思う人が多い事項についてまとめました。
- 住民票や戸籍の原本還付はしてもらえますか?
- 申請書に間違いがあった場合はどうなりますか?
- 相続登記手続き完了の確認はどうやって行えばいいのですか?
- 土地と建物を相続した場合、申請書は2枚必要ですか?
- 法定相続情報証明制度とは何ですか?
Q.住民票や戸籍の原本還付はしてもらえますか?
A.住民票や戸籍、遺産分割協議書や印鑑証明書などは原本還付してもらえます
相続登記の手続きのために提出した、住民票や戸籍などの各種証明書類は原本を返却してもらい、他の手続きなどで再度使用することが可能です。
ただ、何の処理もせずに提出すれば、原本還付はしてもらえません。下記のような処理を行うことで、原本還付が可能になります。
- 原本還付してもらいたい書類をコピーする
- コピーに「原本に相違ありません。」と記載し、署名・捺印をする
- 2枚以上になる場合には契印する
- コピーを申請書に添付し、原本は別途クリアファイルなどに入れる
- 郵送での返却を希望する場合は、宛名を記載した返信用封筒及び書留郵便のための郵券を同封
もしくは、戸籍謄本などについては、「相続関係説明図」を提出することでも原本還付が可能になります。
詳しくは、法務局のHPをご参照いただくか、お近くの法務局に問い合わせをして確認してください。
Q.申請書に間違いがあった場合はどうなりますか?
A.補正依頼、もしくは1回取下を行い再度提出することになります
申請書に間違いがあった場合には、法務局から修正依頼などの連絡がくるのでそちらに従うことになります。
例えば、戸籍謄本などの証明書類が足りない場合には、補正という形で、足りない書類を送る形になるでしょうし、申請書の記載が大きく間違っている場合には補正ができないので、取り下げて新たに申請書を送る形になるでしょう。
どちらにしても自分で手続きを行う場合には、修正依頼があることを想定して、余裕を持って手続きを進めていくことをおすすめします。
Q.相続登記手続き完了の確認はどうやって行えばいいのですか?
A.「不動産登記事項証明書」を取り寄せて確認しましょう
相続登記の手続きが完了した場合には、登録完了の通知が法務局から送付されます。ただ、新しい名義に変更された登記簿謄本がもらえるわけではないので、公の証明にはなりません。
必要であれば、手数料を支払って「不動産登記事項証明書」を取り寄せると良いでしょう。
Q.土地と建物を相続した場合、申請書は2枚必要ですか?
A.原則は2枚の申請書が必要ですが、要件次第では一括で申請できます
被相続人の土地と建物、両方を相続した場合、原則としては申請書が2枚必要になります。つまり、土地と建物、それぞれで手続きを完了させなければならないということです。
しかし、
- 申請する登記が同一管轄
- 登記の目的、登記原因、当事者が同じ
という要件を満たせば、一括で申請することが可能です。
Q.法定相続情報証明制度とは何ですか?
A.相続の手続きを簡易化するための制度のことです
ここまで解説した通り、相続登記の手続きのためには被相続人の戸籍謄本などを大量に用意して、提出する必要があります。
これを簡略化するための制度が、法定相続情報証明制度です。
具体的には、登記所(法務局)に戸除籍謄本等の束を提出し、併せて相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を出せば、登記官がその一覧図に認証文を付した写しを無料で交付してくれます。
それにより、その後の相続手続きにおいては、法定相続情報一覧図の写しを提出すればよくなり、戸籍謄本を提出する必要がなくなるのです。
詳しくは、法務局のHPにてご確認ください。
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7.まとめ
本記事では、
- 相続登記は自分でできる!
- 相続登記の手続きを専門家に依頼した方が良いパターン
- 相続登記を自分で行う際の費用について解説
- 相続登記の大きな3つの種類について解説
- 自分で相続登記手続きを行う際の具体的な流れについて解説
- 相続登記を自分で行う際のQ&A
について紹介しました。
相続登記の手続きを専門家に依頼した方が良いパターンは、下記の通りです。
- 兄弟や甥姪が相続人の場合
- 数次相続や代襲相続の場合
- 特殊な手続きを要する場合
- 相続人同士が不仲である場合
- 忙しく手続きにかける時間がない場合
相続登記を自分で行う際の費用は、
- 登録免許税
- 各種書類取得にかかる費用
の2つの種類があり、登録免許税は、「固定資産税評価額×0.4%」で計算され、各種書類取得は通常は、5000円以内になると考えておきましょう。自分が相続する土地の評価額から実費を計算してみてくださいね。
また、自分で相続登記を行う場合の手続きステップは下記の通りです。
STEP1:相続不動産の特定
STEP2:被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を集める
STEP3:不動産を相続する人を決める
STEP4:遺産分割協議書の作成
STEP5:所有権移転登記申請書を作成する
STEP6:被相続人の戸籍謄本以外の必要書類を揃える
STEP7:登録免許税分の収入印紙を添付
STEP8:所有権移転登記申請書と必須書類を法務局へ提出
多くの人が司法書士などの専門家に依頼している手続きではありますが、実は、特殊なパターンでない限りは誰でもできる手続きになっています。分からないことがあれば、法務局に相談して、手続きを進めてみてください。
本記事を読むことで、相続登記を自分でやる際の基礎知識について理解し、自分で行うかどうかの判断をしてもらえたなら幸いです。
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