更新:2022.11.12

不動産売買における仲介手数料の値引き交渉の方法5つと注意点

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不動産仲介会社に不動産売却の仲介を依頼すると、仲介手数料が軽く数十万円から百万円以上かかることが珍しくありません。

仲介手数料については不動産仲介会社から一方的に提示されるため交渉の余地がないように思えるものの、「値引き交渉はできないの?」と疑問に思う人も多いのではないでしょうか。

結論を言うと、不動産売買の仲介手数料は、値引き交渉をすることは可能ですが安易におすすめはできません。

なぜなら、仲介手数料は、不動産仲介会社にとって、仲介業務に対する報酬であり主な収入源でもあるため、値引きに応じてもらうことは簡単ではなく、ときに不利に働くケースがあるからです。そのため、仲介手数料の値引き交渉をする際には、タイミングとコツに注意することが大切です。

特にタイミングを誤ると、あとの取引がスムーズに進まない可能性も出てくるため気を付けるようにしましょう。

この記事では、

  • 仲介手数料の値引き交渉をする方法
  • 仲介手数料の値引き交渉をするタイミング
  • 仲介手数料の値引き交渉をするデメリット
  • 仲介手数料の値引き交渉をする際に注意点

について解説します。

いい取引を行うためにも、ぜひ最後まで目を通してくださいね。

[監修]宅地建物取引士

市野瀬 裕樹

中古マンション売買仲介を累計1200件以上監督。株式会社groove agentにおいて不動産売買の業務に3年従事。買い手をサポートしてきた経験を活かし、どうすれば高く売れるのか?を、買い手目線で不動産売却仲介のアドバイスを行う。

目次

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    1. 不動産売買の仲介手数料は値引き交渉NGではない

    冒頭でも触れた通り、仲介手数料は条件が揃えば値引き交渉が可能です。

    そこで以下では、不動産売買の仲介手数料についてそもそも値引き交渉を行っても良いのかについて解説します。

    1-1. 法律上では仲介手数料の下限はない

    不動産売却の仲介手数料については、宅地建物取引業法(宅建業法)という法律に運用ルールが定められています。

    この宅建業法では、不動産仲介における仲介手数料について「これ以上の手数料にしてはいけない」という上限を設けているものの、「これ以下の手数料にしてはならない」という下限は設けていません。

    つまり法律上では、上限以下の手数料であれば、値下げの交渉をすることが可能ということになります。

    ちなみに仲介手数料についての上限は、不動産の売買価格によって、下記のように異なります。

    不動産の売買価格

    多くの不動産売買の取引価格は、400万円を上回ることが想定されます。400万円の不動産の売買では、下記計算式によって、仲介手数料の上限額について一括計算することができます。

    400万円を上回る

    ほとんどの不動産仲介会社では、自社の利益を最大限確保するため、仲介手数料については上限の「売却価格 × 3% + 60,000円 + 消費税」を採用しています。

    1-2. 仲介手数料は、依頼者と不動産仲介会社との協議で決めるもの

    国土交通省の考え方では、不動産売買の仲介手数料については、不動産仲介会社が一方的に決めるものではなく、「依頼者と協議して決める事項」としています。国土交通省の解釈に従っても、手数料について値引き交渉をすることは、問題のないことと言えます。

    国土交通省の、不動産の仲介手数料についての考え方は、下記のとおりです。

    不動産の仲介手数料についての考え方

    引用:決裁用、最終バージョン 

    上記のように、国の解釈でも、仲介手数料については売主と不動産仲介会社との交渉事項とされているため、仲介手数料の値引き自体は、やってはいけない行為とはされていないのです。

    しかし、仲介手数料の値引き交渉には、デメリットがあることを理解して慎重に判断する必要があります。

    次章で詳しく説明していきます。

    2. 仲介手数料の値引きにはデメリットがある

    法律上では制約のない仲介手数料の値引き交渉ですが、実際に仲介手数料の値引き交渉を行う場合は、思わぬデメリットがある場合があるため、注意が必要です。

    デメリットには主に以下の3つがあります。

    デメリット

    値引き交渉を行うメリットよりもデメリットから受けるダメージの方が大きい場合は、値引き交渉を行わない方がよいでしょう。

    2-1. 広告宣伝費を削減される

    仲介手数料の値引きをすると、物件を紹介するための広告宣伝費を削減される可能性があります。

    仲介手数料は、不動産仲介会社の普段の販売・仲介活動に対する報酬です。手数料を削減されると、販売活動への費用が削減されてしまいます。物件について、チラシを配布したり、メディア情報に露出させたりという広告活動のための費用が抑えられることがあります。

    物件の情報発信量が減り、買い手側がその物件を見つけにくくなるといったデメリットが生じます。

    注目度のあまり高くないエリアの物件の場合は、広告宣伝をして買主を集めることも大切です。人気エリアから外れた物件などの場合は、広告費削減の影響を受けやすいので注意しましょう。

    2-2. 営業の優先順位を下げられる

    仲介手数料は、不動産仲介会社の営業担当者の成功報酬でもあるため、値引きを依頼すると、営業担当者のモチベーションが下がり、営業の優先順位を下げられることが少なくありません。

    特に大手の不動産仲介会社の場合は、担当する案件も多いため、営業担当者は利益を上げるためにも、仲介手数料の高い案件を優先します。手数料の低い案件は、後回しにされかねません。

    このため仲介手数料を値引きすると、売却したい物件の営業活動にも支障が出ます。その結果、よい買い手が集まらず、高い値段で売却ができなかったり、売却まで時間がかかったりすることがあります。

    2-3. 囲い込みをされ、物件を高く売れない可能性がある

    仲介手数料を値引きした場合、不動産仲介会社は、値引き分の仲介手数料を自社に依頼してきた買主側から回収したいと考えるため、物件を「囲い込み」にすることがあります。

    「囲い込み」とは、不動産仲介会社が、売却物件を、他社に積極的に紹介しないで、自社で買い手が見つかるまで抱え込むことです。

    物件を売り出す際には、通常は「レインズ(REINS)」という国土交通省指定の不動産情報システムに登録されるため、他の不動産仲介会社でも売却物件についての情報を知ることができます。

    囲い込みが行われている場合は、レインズを見て他の不動産仲介会社が、買い手に紹介したいと問い合わせをしても媒介を担当している不動産仲介会社が「今、顧客に案内しているため紹介できません」と断ってしまいます。

    囲い込みをされると、売り手は広く買い手を見つけることができなくなり、高く売る機会を逃しかねません。

    また、囲い込みの場合は、不動産仲介会社は、自社の買い手でとにかく成約させたいため、買い手の意向を優先して売り手に売却価格を下げるよう打診をしてくることもあります。

    手数料の値下げ分よりも、売却額の値引きで損をすることもあるため、注意が必要です。

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    3. 仲介手数料の値引き交渉可能な3つのケース

    仲介手数料の値引きにはデメリットがあると前述しましたが、以下3つのケースの場合、値引き交渉を切り出せる可能性があります。

    そもそも仲介手数料の値引きは応じないという会社も多いですが、交渉可能な会社の場合は以下検討してみましょう。

    交渉可能な会社の場合

    3-1. 専属専任媒介契約か専任媒介契約にすることを条件に交渉してみる

    値下げ交渉の際には、お互いに満足できるポイントで落とすことが非常に大切です。

    値下げしてもらう代わりに、相手にもメリットがあることが大切なため、「専属専任媒介契約」か「専任媒介契約」を結ぶことを前提に交渉すると効果的です。

    以下では「専属専任媒介契約」か「専任媒介契約」の締結を前提とした交渉方法について解説します。

    3-1-1.「専属専任媒介契約」・「専任媒介契約」とは?

    専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」とは、不動産売却の仲介について、不動産仲介会社一社に限定して依頼することです。両契約ともに、不動産仲介会社にとってはメリットのある契約です。

    不動産仲介会社との媒介契約には次の3つの契約があります。

    • 専属専任媒介契約
    • 専任媒介契約
    • 一般媒介契約

    「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」は、先に述べた通り特定の不動産仲介会社一社だけに不動産売却の仲介をお願いし、他社には仲介依頼をしない契約です。「一般媒介契約」は不動産仲介会社一社に限定せず、複数社に仲介を依頼できます。

    「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」との違いには、「専属専任媒介契約」の方はさらに売主が自分で買主を見つけて直接売却することを禁じている点があります。

    不動産仲介会社にとって、「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」の媒介契約を結ぶことは、他社にその売却案件を奪われることがないため、かなりメリットのある契約です。

    多少値引きをしても「専属専任媒介契約」か「専任媒介契約」を締結した方が利益が確保できるため、仲介手数料の値引き交渉に応じてもらえる可能性があるかもしれません。

    ただし、交渉する際には、「手数料の値引きをしないと契約しない」というような脅しや強制は、信頼関係を損なうため、避けるようにしましょう。今後も取引関係が続くことを考えて、値引きをしてほしい事情や背景を率直に話すとよいでしょう。

    値引きをしてほしい事情や背景については、例えば、教育費がかさんで困っている、不景気のため収入に不安があるといった事情を話すのもよいでしょう。合わせて、以下に解説する他社の見積もりや提案などを引き合いに出して説得することをおすすめします。

    3-1-2. 媒介契約前に一括査定を取って交渉してみる

    「専属専任媒介契約」か「専任媒介契約」を締結する前に、売却する不動産について一括査定を取るようにしましょう。

    他社の査定を提示すると、不動産仲介会社は、他社に媒介契約を取られたくないため、手数料の値下げ提案してくれるケースもあります。

    交渉を切り出す際には、他社がこれくらいの価格で提示しているという具体的な数字があると、不動産仲介会社の方も、手数料を値引きするために必要な社内の稟議を通しやすくなります。

    他社では売却時のハウスクリーニングが無料で受けられるといった、他社のサービス内容についても把握しておくと、値下げの材料やサービスを追加してもらう材料となることがあります。

    媒介契約前には他社から一括査定を取るなどして他社での査定額や手数料、サービス内容を把握しておくようにしましょう。

    3-2. 住み替え物件の仲介を条件に交渉する

    不動産の売却とともに新居への住み替えを予定している場合には、住み替え物件の仲介を条件に値引き交渉をするという方法もあります。

    売主が不動産の売却と合わせて住み替え物件の依頼もする場合は、不動産仲介会社にとっては、不動産売却の手数料に加えて、住み替え物件購入時の手数料も確保できるため、メリットは大きくなります。不動産会社は、売却と買取両方の媒介契約を確保したいため、値引き交渉に応じやすいと言えます。

    また、不動産売却と同時に物件の購入を依頼する場合は、まず物件を売却しないと購入契約には至らないため、不動産仲介会社は売却に特に力を入れる可能性が高くなります。

    住み替え物件の仲介を条件に手数料の値引きを依頼することで、手数料を値引きしても、営業のモチベーションを下げることなく営業活動をしてもらえる可能性があるでしょう。

    3-3. キャンペーン・株主優待などを利用して交渉する

    不動産仲介会社の中には、福利厚生や株主優待、キャンペーンなどで、仲介手数料の割引を行っている会社もあるため、利用するのもおすすめです。

    例えば、大手企業に勤めている場合などは、提携する不動産仲介会社を利用すると仲介手数料を割り引いてもらえることがあります。大手企業で、グループに不動産仲介会社がある場合は、確認するようにしましょう。

    また、上場している不動産仲介会社の中には、株主優待として「仲介手数料の割引」を行っているケースがあります。株主優待以外でも、期間限定のキャンペーンで仲介手数料の割引を行っている不動産仲介会社も多く見られます。

    仲介手数料を値引きするには、こうした株主優待や割引キャンペーンを実施している不動産仲介会社に売却を依頼するとよいでしょう。

    株主優待の場合は、優待の案内が送られてくるため把握することができます。キャンペーン実施会社などは、インターネットで検索することで見つけることが可能です。

    キャンペーン実施会社に依頼する際には、仲介手数料の割引を行っている理由が妥当かどうかを確認するようにしましょう。下記のような理由であれば妥当と言えます。

    不動産紹介サイトの活用で物件の露出を増やして集客するなどで、営業コストを削減し、手数料値引きを実現している。

    早期の売却を実現することで営業コストを削減し、手数料の値引きを実現している。

    値引きの理由が定かでない場合は、安い分サービスの質が悪いことも想定されるため、利用を避けるようにしましょう。

    4. 仲介手数料の値引き交渉のタイミングは媒介契約前がベスト

    前提として仲介手数料の値引きをしていないという会社は、そもそも値引き交渉はできませんが、可能な会社に仲介手数料の値引き交渉を行う場合、そのタイミングは、不動産仲介会社と媒介契約をする前にしましょう。

    仲介手数料の値引き交渉のタイミングは媒介契約前がベスト

    なぜなら、媒介契約時の不動産仲介会社は、売主と媒介契約を結びたいという動機が強いため、売主の意向に最も柔軟に対応する段階にあると言えます。

    逆に、販売活動に入ってから値引き交渉を行うと、不動産仲介会社の営業のモチベーションを下げてしまい、あまりよい効果を生みません。

    また、手数料の値引きには基本的に応じないとするガイドラインを設けている企業も少なくないため、事前相談の段階で確認しておくことで、売却において最も重要な売買活動中に関係性を悪化させるという事態を防ぐことができます。値引き交渉を切り出す際には、相当説得力のある理由を用意する必要が生じます。

    このため、値引き交渉を行う場合は、媒介契約前に行うようにしましょう。

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    5. 仲介手数料の値引き交渉をする際の注意点

    2章でお伝えしたように、仲介手数料の値引き交渉については、売却したい物件の販売活動の足かせとなるデメリットもあるため、注意が必要です。

    交渉を行う際には、以下のような点を確認して行うようにしましょう。

    仲介手数料の値引き交渉をする際の注意点

    5-1. 売却額と手数料のトータルで考える

    「4.仲介手数料の値引きをするデメリットもある」では、仲介手数料は値引きをすると、広告費が削減されたり、営業の優先順位を下げられたりと、物件の販促上のデメリットがあることを紹介しました。

    このように、仲介手数料を値引きすると、営業活動が損なわれて買い手が集まらず、売却額を下げる羽目になることも少なくありません。

    仲介手数料の値引き額と売却額の値下げ額を比べると、値引きをしないで売却額を維持した方が得な場合も多くあります。

    最終的にいくらで売却するかといった点を重視し、無理に仲介手数料を値引きしないこともおすすめです。

    5-2. 特典・付帯サービスにも目を向ける

    仲介手数料の値引きをするよりも、不動産仲介会社の各種特典やサービスに目を向けることもおすすめです。

    例えば、売却価格をあげるために、無料で部屋を家具などでインテリアコーディネートする「ホームステージングサービス」を無償で行っている不動産仲介会社もあります。通常であれば6万円以上かかるものが無料になります。

    また建物売却時、建物の雨漏りやシロアリによる被害などの「瑕疵」を売主が調査・補修をしなければなりませんが、不動産仲介会社が代わって無料で調査・補修するサービスもあります。通常であれば数万~十数万円かかるものが無料になります。

    デメリットを伴う値引き交渉にこだわるよりも、こうした特典・付帯サービスを十分活用して快適に売却をすることもおすすめです。

    まとめ

    不動産の売却における仲介手数料は値下げ交渉自体は可能ですが、売却活動への支障やデメリットが大きいため安易に行うことはおすすめしていません。

    デメリット

    値下げ交渉のタイミングとしては、不動産仲介会社と媒介契約を締結する前と言えます。

    値下げ交渉できるケースとしては下記のようなものがあります。

    値下げ交渉できるケース

    仲介手数料の値引き交渉を行う際には、以下の2点に留意して行うようにしましょう。

    仲介手数料の値引き交渉

    仲介手数料の値引き交渉を行うよりも、不動産仲介会社の特典や付帯サービスといった他のメリットに目を向けることもおすすめです。

    納得のいく不動産の売却ができるよう、これらの情報を活用してください。

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