マンション売却の仲介手数料はいくらかかる?安く売却する方法や費用相場を紹介
マンション売却の仲介手数料とは、売買の仲介を依頼した不動産会社に対して、不動産売買の契約が成立した際に支払う成功報酬のことです。
売買契約の成功報酬なので、何らかの理由で売買契約に至らなかったり、不動産会社に買い取ってもらう場合は、支払う必要はありません。
仲介手数料の金額は売却価格によって不動産会社が決定しますが、上限価格は法律によって決められています。不動産会社によっては仲介手数料を半額や無料にするキャンペーンを行う場合もありますが、これには要注意です。
仲介手数料は、マンション売却の際にかかる諸費用の中で最も大きな割合を占めるものです。高額負担になる可能性もあるため、仲介手数料についてよく知っておく必要があるのです。
そこでこの記事では、以下を解説していきます。
- マンション売却の仲介手数料とは
- マンション売却の仲介手数料の相場
- マンション売却で仲介手数料を安く抑えるコツ
- 仲介手数料は値引き交渉ができる
- 【売却金額別】仲介手数料の計算一覧
- 仲介手数料以外にも出費がかさむ
- マンション売却でどのくらい手元に残るかシミュレーション
- マンション売却の手数料に関する例外
- 仲介手数料の安さで不動産会社を決めてはいけない理由
最後までお読みになると、マンション売却の仲介手数料について理解が深まるでしょう。
この記事があなたのマンション売却にお役に立てれば幸いです。
[監修]宅地建物取引士
市野瀬 裕樹
中古マンション売買仲介を累計1200件以上監督。株式会社groove agentにおいて不動産売買の業務に3年従事。買い手をサポートしてきた経験を活かし、どうすれば高く売れるのか?を、買い手目線で不動産売却仲介のアドバイスを行う。
目次
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1.マンション売却の仲介手数料とは
マンション売却の仲介手数料とは、簡単に言うと、マンション売却の仲介を依頼している不動産会社に売買の成功報酬として支払うものです。
金額は不動産の売却価格を基に不動産会社が決めますが、上限は法律によって決められています。
支払いは2回に分けるのが一般的で、売買契約成立時に50%、物件引き渡し時に残りの50%を支払います。
原則現金で、直接不動産会社に支払う場合が多いです。
仲介手数料とはマンションの売却にかかる費用の中で最も大きい割合を占める部分なので、どのような費用が含まれているのか、どのように支払うのかなど、仲介手数料についての理解を深めておく必要があります。
それでは詳しく説明していきましょう。
1-1.マンション売却の仲介手数料とは売買契約の成功報酬
冒頭でもお話しましたが、マンション売却の仲介手数料とは、売買の仲介を依頼した不動産会社に支払う成功報酬のことです。
もう少し分かりやすく言うと、マンションを売却しようとする際、まず不動産会社と契約をし、販売活動を依頼しますよね。
依頼を受けた不動産会社は、マンションの価格を査定し、売却価格を売主と決め、インターネットやチラシなどさまざまな手法で広告を出し、販売活動を進めていきます。
その活動の成果として売買契約が完了したことを受け、成功報酬として仲介手数料を支払うというわけです。ちなみに、仲介手数料は買主側も支払います。
売買契約の成功報酬なので、何らかの理由で売買契約に至らなかったり、不動産会社に買い取ってもらう場合は、支払う必要はありません。
また、複数の不動産会社に販売活動を依頼していた場合は、売却が成功した不動産会社のみに仲介手数料を支払います。
1-2.マンション売却の仲介手数料はいつ払う?支払うタイミングとは
先ほどもお話した通り、マンション売却の仲介手数料は売買契約が締結したことによる成功報酬なので、契約が結ばれていない段階で支払うことはありません。
ではどのタイミングで支払うのかと言うと、仲介手数料を支払うタイミングに法律的な決まりはなく、契約をしている不動産会社から指定されたタイミングで支払うことになります。
一般的には、2回に分けて支払うことが多いです。
最初は売買契約が成立した時点で全額の50%、2回目は物件の引き渡し時に残りの50%を支払います。
他にも、契約締結後に一括で払う方法、引き渡し時に一括で支払う方法があります。いざ支払いのタイミングで慌てないように、最初の契約の際に仲介手数料の支払いタイミングについて確認しておくことをおすすめします。
1-3.マンション売却の仲介手数料は不動産会社に直接支払う
マンションの仲介手数料は、不動産会社に支払うものです。
支払い方法は、基本的には現金で不動産会社に直接持ち込みで支払います。
不動産会社によっては銀行振り込みの場合もありますが、金額が高額なため振り込み手数料が多くかかってしまうことを考慮して、直接支払いにしている不動産会社が多いようです。
注意しなければならないのが、仲介手数料を消費者金融から借りないことです。消費者金融から借りてしまうと利子が高くつくばかりか、もしその後ローンを組みたい場合に不利になるからです。
しかし、仲介手数料は何十万と高額なので、急に言われても用意できない場合があるかもしれません。仲介手数料は売却価格によって上限が決まるので、売り出す際にある程度の目安をつけて事前に準備しておくとよいでしょう。仲介手数料の目安の計算方法は後ほどご説明していきますね。
1-4.マンション売却の仲介手数料に含まれる費用
マンション売却の仲介手数料ですが、具体的には何が含まれているのかが気になるかと思います。
マンション売却の仲介手数料に含まれるのは、主に以下の通りです。
- 物件の販売活動における宣伝広告費
- 物件の案内に関わる諸費用
- 重要事項説明書の作成、説明
- 売買契約書の作成など必要書類の作成
- 支払い手続きに関わる諸費用
つまり、売主が売却依頼をしてから買主が現れて売買契約を締結し、引き渡しが完了するまでの諸々の手続きにかかる諸費用です。
販売活動や物件案内についてもう少し具体的に説明すると、不動産会社は次のような販売活動を行います。
- 自社店舗を持つ場合は、物件のポスターやカードを作成して顧客にアピールする
- ニーズがマッチしそうな顧客がいれば直接DMを送る
- 地域の不動産情報誌や新聞広告などに情報を掲載する
- インターネットの不動産情報に登録する
- オープンハウスを行う
- 内覧会を行う
このように、一言で販売活動といっても、幅広いアプローチをしていることがお分かりになるかと思います。マンション売却の仲介手数料は、これらの販売活動や契約手続きの対価として支払われるものなのです。
2.マンション売却の仲介手数料の費用相場
マンション売却の仲介手数料は、宅地建物取引業法によって上限が定められています。不動産会社は上限以上は請求できません。
一般的には法律で決められている上限が仲介手数料の相場とされており、不動産会社は相場と実際の売却価格を参考に仲介手数料の金額を決めていくことになります。中にはキャンペーンとして無料や相場の半額にする不動産会社もいます。
それでは、仲介手数料の上限と相場について詳しく解説していきます。
2-1.マンション売却の仲介手数料は法律で上限が決まっている
マンション売却の仲介手数料は、宅地建物取引業法という法律により、売却価格に応じて上限が定められています。
計算式は以下のようになります。計算方法は少し特殊で、3段階に分けて計算をします。
売却価格 | 仲介手数料の上限 |
~200万円 | 売却価格の5%+消費税 |
201万円~400万円 | 売却価格の4%+消費税 |
401万円~ | 売却価格の3%+消費税 |
もう少し詳しく言うと、マンションの売却価格を200万円以下、200万円を超えて400万円以下、400万円を超えた3段階に分けて計算し、その合計がマンション売却の仲介手数料となります。
2-1-1.マンション売却の仲介手数料の上限額
この表からも分かるように、売却価格が200万円以下の部分は売却価格の5%+消費税、売却価格が200万円を超えて400万円以下の部分は売却価格の4%+消費税、売却価格が400万円を超えた部分は売却価格の3%+消費税が仲介手数料の上限となります。
計算する際、売却価格は消費税を含まない金額とします。また、仲介手数料は不動産会社に対する事業の報酬なので、別途消費税がかかります。
表だけだと分かりにくいので例を挙げて説明すると、例えば売却価格が1000万円の場合、以下の図のように、3段階に分けて計算されます。
これらを合計すると36万円となります。これに消費税が10%(36万円×0.1=3万6000円)加算されると、39万6000円。これが、マンションを1000万円で売却した場合の仲介手数料の上限です
この例からも分かるように、売却価格を3段階に分けて計算するこの方法では、売却価格が200万円を超えると計算が面倒になってきますよね。
そこで、便利なのが速算式を利用する方法です。速算式は次のようになります。
2-1-2.マンション売却の仲介手数料の計算方法
● 売却価格400万円以上:(売却価格 × 3%) + 6万円 + 消費税
● 売却価格200万円超400万円以下:(売却価格 × 4%) + 2万円 + 消費税
● 売却価格200万円以下:(売却価格 × 5%) + 消費税
この表からも分かるように、速算式の場合は3段階に分けることがなく計算式が一本化されて簡単になりました。先ほど例に挙げた売却価格1000万円の場合に応用してみると、以下の式になります。
1000万円×3%+6万円+消費税
36万円+消費税(36万円×10%)=39万6000円の答えが出ます。最初の計算方法と同じになりますね。どちらの方法を使っても同じ金額になるので、自分に合った方を活用してみましょう。
2-2.マンション売却の仲介手数料の早見表
先ほど、マンション売却の仲介手数料は法律で上限が定められていることをお話しましたが、一般的にはその上限が相場とされていることが多いです。
仲介手数料の上限は売却価格に応じて計算されるので、必然的に相場も売却価格に連動することになります。
売却価格ごとの相場が分かりやすいように、上限を算出する計算式に当てはめたものを一覧表にまとめました。
例えば売却価格が1000万円の場合は仲介手数料が39万6000円、売却価格3,000万円の場合は仲介手数料が105万6000円となります。
実際の金額は不動産会社が決めるため、この数字とは異なる場合もあります。
ただし、不動産会社が相場(上限)以上の仲介手数料を請求することはできないので、一つの目安として覚えておくとよいでしょう。
2-3.マンション売却の仲介手数料は無料や半額になる場合もある
マンション売却の仲介手数料は、不動産会社によって半額や無料になるケースがあります。なぜかと言うと、マンション売却の仲介手数料は、宅地建物取引業法で定められた上限を参考に不動産会社が独自に決めていくものだからです。
そのため、不動産会社によっては、キャンペーンや企業努力などで、相場よりも売却の際の仲介手数料を抑えるところも実際に存在します。最初から安い金額に設定している場合もあれば、交渉次第で仲介手数料の価格を下げてくれる不動産会社もあります。
高額な仲介手数料が安くなれば、売主にとってはメリットが大きいように感じますよね。
しかし、マンション売却の仲介手数料は安ければよい、無料の方がよいわけではありません。それについては、この記事の最後の方でお話していきます。
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3.マンション売却で仲介手数料を安く抑えるコツ
マンション売却で仲介手数料を安く抑えるコツは以下の通りです。
- マンション売却の税負担を減らす
- サービスが充実した不動産会社選ぶ
- 売却時に返金されるお金の種類を調べておく
- 個人間で売買する
3-1.マンション売却の税負担を減らす
譲渡所得が発生した場合、一定の条件を満たすと節税特例を利用できます。利用できる可能性のある特例は以下の通りです。
- 居住用財産の買換え特例
- 3,000万円の特別控除
- 軽減税率の特例
なお、マイホームの節税特例を利用する場合、住宅ローン控除を同時に利用することはできません。また、取得費の特例は相続税を納税した方にのみ適用されます。
節税特例を利用するためには要件を満たす必要があるため、事前に要件を確認するようにしてください。
3-2.サービスが充実した不動産会社を選ぶ
ハウスクリーニングなどのサービスが整った不動産会社を選ぶこともコストを抑える方法の一つです。最近では仲介を依頼すると、ハウスクリーニングや壁・床の修繕、荷物の一時預かり、プロカメラマンによる写真撮影などのサービスを提供している会社が増えています。
このような不動産会社に仲介を依頼すれば、追加費用をかけることなく所有している不動産が売れやすくなるためのサービスを受けることができるのです。
3-3.売却時に返金されるお金の種類を調べておく
マンション売却では以下のように売却時に返金されるお金があります。
- 火災保険料
- 住宅ローン保証料
- 固定資産税・都市計画税の清算金
- 管理・修繕費の清算金
- 駐輪・駐車場などの清算金
返金の要件に当てはまるのか、いくら返ってくるのかも必ず事前に確認しておきましょう。
仲介会社の中には返金のことを伝えないと返してくれない業者もあるため、注意してください。
3-4.個人間で売買する
個人間の売買では、仲介手数料はかかりません。仲介手数料とは、不動産会社に支払うものであり、不動産売買を仲介する際にのみ発生します。
そのため、不動産会社に頼らずに個人間で不動産売買を成立させた場合には、当然仲介手数料はかかりません。
ただし、不動産の売買には金額交渉や売買契約書の作成など、個人で対応するには難しいことが多くあります。第三者を交えずに行うとトラブルが発生する可能性もあるため、個人間で売買する際は十分な知識が必要です。
4.マンション売却の仲介手数料は値引きできるケースもある
先ほど、マンション売却の仲介手数料が半額や無料になる場合があるとお話しましたが、値引き交渉することもできます。
とは言え、仲介手数料は不動産会社にとって大事な収入源なので、値引きに応じてもらえることは少ないでしょう。
そこで重要なポイントになってくるのが、以下の3つです。
- 値引きをしやすいパターン
- 値引きを切り出すタイミング
- 値引きをする方法
さらに冒頭でもお話した通り、仲介手数料は不動産会社への成功報酬であるからこそ、値引きをすることでデメリットも伴います。
値引き交渉よりも、不動産会社の仲介担当と団結して、高く売れるようしっかりコミュニケーションを取っていく方が、結果的に手元に利益が残るような取引ができることは覚えておきましょう。
それでは仲介手数料を値引き交渉するための重要ポイントについて、詳しく説明していきます。
4-1.値引きをしやすいパターン
マンション売却の際の仲介手数料の値引き交渉で、成功しやすいパターンは主に2つあります。
それは、以下の2つです。
- 売却する物件が高額な場合
- 住み替え先などの仲介を同じ不動産会社に依頼する場合
それぞれについて詳しく説明していきます。
4-1-1.売却する物件が高額な場合
仲介手数料は売却価格に応じて決められるので、売却価格が高額であるほど仲介手数料も高額になります。
先ほどお話したことのおさらいになりますが、具体的には売却価格が400万円超の場合、仲介手数料の上限は以下のようになります。
仲介手数料=(売却価格×3%)+6万円+消費税
売却価格が高額な場合は仲介手数料の金額も大きいので、値引き交渉の余地があります。
4-1-2.住み替え先などの仲介を同じ不動産会社に依頼する場合
マンションの売却と住み替えを同時に考えており、同じ不動産会社に売却と購入どちらも依頼する場合は、仲介手数料の値引きに応じてもらえるケースがあります。
売却と購入には、どちらにも仲介手数料がかかるため、不動産会社としても応じるメリットがあるからです。
4-2.値引きを切り出すタイミング
マンション売却の仲介手数料の値引き交渉には、成功するタイミングがあります。間違ったタイミングで交渉をしてしまうと、せっかくのチャンスをふいにしてしまうかもしれませんので注意しましょう。
値引き交渉を切り出していいタイミングは、不動産会社との媒介契約前のみです。
その後だと、売却活動が縮小されたり、トラブルの元となる可能性があるためです。
媒介契約後の値引き交渉は避けましょう。
媒介契約後で販売活動を開始しているタイミングだと不動産会社のモチベーションを下げかねませんし、売却希望物件の売買契約を締結してからだと、仲介手数料を支払うタイミングになってしまいます。
支払いの直前に値引きを交渉しても成功しにくいのは当然なので、ぜひ媒介契約前に交渉するようにしましょう。
4-3.値引きをする方法
マンション売却の仲介手数料を値引きする方法は、主に2つあります。
- 専属専任媒介契約か専任媒介契約にする
- 新たに住み替える物件を同一の不動産会社に依頼
ぞれぞれについて、具体的に解説していきます。
4-3-1.専属専任媒介契約か専任媒介契約にする
不動産売買の仲介を依頼する際、契約の種類は以下の3つがあります。
- 専属専任媒介契約
- 専任媒介契約
- 一般媒介契約
「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」は、一社のみに販売活動の仲介を依頼する契約です。その中でも「専属」は、売主が自分で買主を見つけることを禁止できる契約です。
一方「一般媒介契約」は、複数の不動産会社に販売活動を依頼できる契約方法となります。
不動産会社が望むのは、顧客を逃すことがない専属専任媒介契約か専任媒介契約で契約を結ぶことです。そのため、売主側の意向をくんでもらいやすくなり、仲介手数料の値引き交渉も成功する可能性が高くなります。
4-3-2.新たに住み替える物件を同一の不動産会社に依頼する
売却する物件だけでなく、新たに住む物件も同一の不動産会社に依頼する場合、仲介手数料の値引き交渉が成功しやすい方法です。
仲介手数料は売主と買主の両方が支払うので、マンションを売却した際に仲介手数料を支払って、さらに新たに物件を購入する際にも仲介手数料を支払うことになります。
そのため、不動産会社にとって、売却分と購入分の仲介手数料を確保できるメリットがあり、値引き交渉に応じてもらいやすくなります。
4-4.値引き交渉をするデメリット
マンション売却の仲介手数料を値引き交渉することで、デメリットも発生します。
それは、販売活動の熱意を下げられる可能性がある点です。もう少し具体的に言うと、広告宣伝費を削減されたり、営業の優先順位を下げられる可能性があります。
マンション売却の仲介手数料は不動産会社に対する成功報酬なので、「報酬が値引きされた」という気持ちが販売活動の熱意を下げてしまうかもしれないのです。
さらに、仲介手数料には販売活動に必要になる経費も含まれているので、経費の部分を削減されてしまい望むような販売活動をしてくれない可能性もあります。
マンション売却の仲介手数料の値引きを交渉する際は、このようなデメリットもしっかり理解した上で交渉しましょう。
仲介手数料の値引きについてより詳しくは、不動産売買の仲介手数料の交渉について書かれた以下の記事をご覧ください。
関連:不動産売買における仲介手数料の値引き交渉の方法5つと注意点
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5.マンション売却は仲介手数料以外にも出費がかさむ
マンションの売却にかかる仲介手数料の相場や計算式について説明しましたが、マンション売却にかかる費用は、仲介手数料だけではありません。
マンション売却の際に必要になる費用は主に次の通りです。
- 税金
- 登記費用
- 住宅ローンの一括返済手数料
- ハウスクリーニングや修繕費
税金や修繕費など、売却の際に出ていく費用は意外に多いことがお分かりになるかと思います。これらを合わせると、全体で売却価格の5〜7%になることが一般的です。
では、それぞれについて詳しく解説していきましょう。
5-1.税金
マンションの売却で仲介手数料の他にかかるものとして大きいのが、税金の部分です。
具体的には以下の3種類です。
- 印紙税
- 抵当権抹消に関わる登録免許税
- 譲渡所得税
それぞれについて説明していきます。
5-1-1.印紙税
印紙税は、不動産の媒介契約書に貼付する収入印紙にかかる税金で、一律でかかるものです。収入印紙税とも呼ばれます。
印紙税の金額は、売却価格によって決まり、以下のようになっています。
- 売却価格が100万円超え500万円以下の場合は2000円
- 売却価格が500万円超え1000万円以下の場合は1万円
- 売却価格が1000万円超え5000万円以下の場合は2万円
- 売却価格が5000万円超え1億円以下の場合は6万円
さらに2027年3月31日までは印紙税の軽減措置があり、通常より税金が抑えられています。
印紙税は、契約書に貼付したものにサインや印鑑で消印処理をすることで納税したものとみなされます。消印がされていないと納税を認められず、延滞税などを徴収されることがあるので気をつけましょう。
5-1-2.登録免許税
登録免許税も印紙税と同様、一律でかかる税金です。登録免許税とは、分かりやすく言うと不動産の名義変更の際に発生する税金のことを言います。
売主と買主の両方に支払い義務があり、売主が払うのは「抵当権抹消登記」に関するものです。金額は不動産1件につき1000円なのですが、マンションの場合は建物と土地が別々とみなされ、2000円となります。
5-1-3.譲渡所得税
譲渡所得税とは、不動産を売却した際に利益が出た場合にのみ支払いが必要になる税金です。もう少し分かりやすく言うと、不動産を売却して得た利益に所得税や住民税がかかります。
この場合の利益を譲渡所得と言いますが、譲渡所得は単純に購入金額から売却価格を差し引いたものではなく、売買に関係する諸経費を含んだ額になります。
譲渡所得税の税率は2種類あり、物件の保有期間によって区分されています。具体的には、物件の保有期間が5年以下であれば譲渡所得の39.63%、5年を超えていれば譲渡所得の20.315%となります。
ただし、売却したのがマイホームである場合、「3,000万円特別控除」という制度を使用できます。この控除は譲渡所得から3,000万円を引けるので、結果として利益が3,000万円より出なければ譲渡所得税はかかりません。
マイホームであれば、他に「10年超所有軽減税率の特例」を利用でき、譲渡所得が6,000万円以下の部分の税率が通常の20.315%より低く14.21%となります。
譲渡所得税や印紙税、登録免許税などマンション売却にかかる税金についてより詳しくは、マンション売却の税金について書かれた以下の記事をご覧ください。
関連:マンション売却に税金はいくらかかる?シミュレーション例や節税方法を徹底解説
5-2.登記費用
登記費用とは、不動産登記にかかる費用です。不動産登記とは、不動産が誰のものかを書類上で明らかにする手続きで、「所有権移転」と「抵当権抹消」の2つがあります。
売主が行うのは抵当権抹消の手続きで、前述した登録免許税と司法書士への報酬が必要になります。
登録免許税は前述した通り2000円、司法書士への報酬は2〜3万円程度が目安です。
マンション売却の際の登記費用についてより詳しくは、マンション売却の登記費用について書かれた以下の記事をご覧ください。
関連:マンション売却の登記費用とは?売主が負担する費用と相場を徹底解説
5-3.住宅ローンの一括返済手数料
現在の物件を購入する際に住宅ローンを組んでいる人がほとんどだと思いますが、売却の際にはそのローンを一括返済することになります。
一括返済には手数料がかかるため、事前に取引をしている金融機関に確認しておきましょう。
金額は金融機関によって異なりますが、相場は3〜4万円程度です。
5-4.ハウスクリーニングや修繕費
マンションを売却する際には、設備不良箇所の修繕やハウスクリーニングも場合によっては必要です。修繕は小さな不具合の場合はそれほど費用がかからないと思いますが、大掛かりな修理や交換となると数十万円くらいかかる場合もあるので注意が必要です。
売却物件で修繕が必要な箇所があれば、査定の段階で指摘があると思います。修繕が必須なのかどうか、しっかり確認しておくとよいでしょう。
ハウスクリーニングは業者によって金額が異なりますし、クリーニングを行う範囲によっても金額が違ってきます。不動産会社によっては、ハウスクリーニング業者と提携している場合もあるので確認しておきましょう。
ハウスクリーニングの料金については、2LDK・3DKのマンションで5万円程度、3LDK・4DKのマンションで6万円程度が相場とされています。事前に価格やサービスを比較して、依頼する業者を決めておくといいですね。
マンション売却にかかる費用についてより詳しくは、マンション売却の費用について書かれた以下の記事をご覧ください。
関連:マンションの売却にかかる費用一覧!シミュレーションと節約法も解説
ハウスクリーニングの費用についてより詳しくは、マンション売却のクリーニングについて書かれた以下の記事をご覧ください。
関連:マンション売却のハウスクリーニング|無駄なく行う賢い方法と注意点
6.マンション売却でどのくらい手元に残るかシミュレーション
「マンション売却で仲介手数料やその他にも出費がかさむことは分かったけれど、じゃあ一体いくら手元に残るんだろう」と考える人も多いでしょう。
そこで、売却価格別に3パターンに分けて、おおよそどのくらいの額が手元に残るのかをシミュレーションしていきます。
あなたの売却価格に近い設定を参考にしていただけると幸いです。
6-1.マンションの売却価格が1,000万円の場合
マンションの売却価格が1,000万円だった場合、おおよそ以下の費用がかかります。
- 仲介手数料=(1,000万円×3%+6万円)+消費税=39万6,000円
- 印紙税=1万円
- 登録免許税=2,000円
- 司法書士への報酬=5,000円〜2万円程度
- 住宅ローンの一括返済手数料=1〜3万円程度
- ハウスクリーニング=5〜6万円程度
これらの項目を合計すると約51万8,000円となります。この他に、修繕が必要な箇所がある場合は修理代、引越し代金がかかります。
マンションの売却価格1,000万円から売却にかかる諸費用を差し引くと、手元に残る額は推定948万2,000円となります。
6-2.マンションの売却価格が3,000万円の場合
マンションの売却価格が3,000万円だった場合、おおよそ以下の費用がかかります。
- 仲介手数料=(3,000万円×3%+6万円)+消費税=105万6,000円
- 印紙税=2万円
- 登録免許税=2,000円
- 司法書士への報酬=5,000円〜2万円程度
- 住宅ローンの一括返済手数料=1〜3万円程度
- ハウスクリーニング=5〜6万円程度
これらの項目を合計すると約118万8,000円となります。この他に、修繕が必要な箇所がある場合は修理代、引越し代金がかかります。
マンションの売却価格3,000万円から売却にかかる諸費用を差し引くと、手元に残る額は推定2,881万2,000円となります。
6-3.マンションの売却価格が5,000万円の場合(譲渡所得税がかかる場合)
マンションの売却価格が5000万円だった場合、おおよそ以下の費用がかかります。仮に10年居住したマンションで譲渡所得が800万円だったとします。
- 仲介手数料=(5,000万円×3%+6万円)+消費税=171万6,000円
- 印紙税=2万円
- 登録免許税=2,000円
- 司法書士への報酬=5,000円〜2万円程度
- 住宅ローンの一括返済手数料=1〜3万円程度
- ハウスクリーニング=5〜6万円程度
- 譲渡所得税=800万円×20.315%=162万5,200円
これらの項目を合計すると約281万3,200円となります。この他に、修繕が必要な箇所がある場合は修理代、引越し代金がかかります。
マンションの売却価格5,000万円から売却にかかる諸費用を差し引くと、手元に残る額は推定4,718万6,800円となります。
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7.マンション売却の手数料に関する2つの例外
マンション売却にかかる手数料には、以下2つの例外が存在します。
- イレギュラーな依頼で発生した費用は別途請求される可能性がある
- 低廉な空き家などの売買には特例がある
それぞれの例外を解説します。
7-1.イレギュラーな依頼で発生した費用は別途請求される可能性がある
売主希望のイレギュラーな依頼で発生した費用は別途請求される可能性があります。
仲介手数料には、ポスティングやチラシなどの広告費用や入居希望者の現地案内にかかる交通費などが含まれますが、例外的な費用が発生することもあります。
仲介手数料は「通常の業務に支払う費用」であり、通常の仲介業務を超える特別な費用に関しては全額請求される可能性があるため、注意が必要です。
なお、特別な費用が請求できるのは事前に依頼者の了解を得た場合に限られています。
7-2.低廉な空き家などの売買には特例がある
2018年1月1日から、低価格な空き家の売買取引において、媒介報酬額の特例が適用されるようになりました。この特例は、400万円以下の不動産の売買に調査費用を上乗せできるものです。
この法改正の目的は、問題となっている空き家の流通を活性化させることです。空き家の売却には現地調査や交通費などの費用がかかりますが、売買価格が低いため不動産会社にとっては利益が少なく、仲介が難しいケースが多かったのです。
しかし、特例によって必要経費をプラスして最大18万円+消費税まで売主に請求できるようになり、以前よりも売買取引が活発に行われるようになりました。
追加される費用は媒介契約を結ぶ際に不動産会社から説明を受け、双方で合意する必要があります。
具体的な費用の明細についても提示してもらいましょう。
8.仲介手数料の安さでマンション売却の不動産会社を決めるべきではない
ここまでマンション売却の仲介手数料についてお話をしてきた中で、仲介手数料は不動産会社の販売活動に対する報酬なので、安ければよいわけではないことをお伝えしました。
やみくもに仲介手数料を安くするのは顧客獲得のための戦略である可能性が高いこと、他の部分で多く取られている可能性も高いからです。
前述した通り、マンション売却の仲介手数料は、販売活動に関わる宣伝費や書類作成における手数料です。売買契約が成立した報酬とは言え、販売活動に必要となる経費でもあるのです。
仲介手数料を安くするためにその部分を抑えて販売活動にマイナスの影響が出るようでは元も子もありません。もし仲介手数料が安くなっていたり無料とされている場合は、なぜ仲介手数料を抑えられているのか、その理由についても聞いておくとよいでしょう。
では、何を基準にマンションの売却を任せる不動産会社を決めたらよいのでしょうか。
それは、信頼できる不動産会社かどうかです。
具体的には、以下のような観点から依頼する不動産会社を決めるとよいでしょう。
- 口コミ
- 販売実績
- やりとりした際の対応
- 得意とするエリア、物件種別
このように、マンションを売却する不動産会社を選ぶ際は、仲介手数料の金額だけでなく、不動産会社の対応や実績なども合わせて考えていくことをおすすめします。
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9.仲介手数料を抑えるよりも「マンションを高く売ること」が大事!
マンション売却の際には、手数料をできるだけ抑えたいと考える方も多いでしょう。しかし、仲介手数料を安くしてくれる会社を探すために、値引き交渉や節約策を考えることはおすすめできません。
マンションを高く売却することで、手元に残る利益を増やす方法を重視しましょう。
なお、マンションを高く売るためには、実績のある不動産会社を積極的に選ぶことが重要です。マンション売却に関して無料相談をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。
10.まとめ
いかがでしたか?マンションの売却にかかる仲介手数料について、仲介手数料に含まれる項目や相場、計算方法、仲介手数料を含めたマンション売却の際に必要になる費用などについて説明しました。
マンション売却の仲介手数料とは、マンション売却の仲介を依頼している不動産会社に売買の成功報酬として支払うものであることから、安ければ安いほどよいというわけではありません。相場と照らし合わせながら、金額が妥当かどうかを確認しましょう。
最後に、改めて仲介手数料の相場をまとめた表を載せておきます。
以上になります。マンションを売却する際の仲介手数料について理解を深め、自分の場合はいくらくらいが相場なのかを知り、マンションの売却に役立ててくだされば幸いです。
この記事があなたのお役に立てることを願っています。
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