一般媒介契約を分かりやすく解説|おすすめな人と契約中の3つの注意点
一般媒介契約とは3種類ある“媒介契約”の1つです。
媒介契約の中でも唯一複数の不動産会社と重複して契約することが許されているため、不動産会社を1社に絞り込む必要がありません。
すでに一般媒介契約を交わしている不動産会社があっても、別の不動産会社と一般媒介契約を結ぶことができます。
さらに、一般媒介契約には他の媒介契約と比べても以下のような特徴があります。
一般媒介契約は他の契約と比べても自由度が高く、法律で定まっている契約期間がなかったり、もしも自分で買主を見つけた場合には仲介なしで販売できたりなどのメリットがあります。
一方、不動産会社には物件を公表するレインズ(不動産流通機構)の登録義務や、売主に対して販売状況を報告するという義務がないため、売主には不利な状況になる可能性もあります。
このような特徴を持つ一般媒介契約は売主の考え方や物件によって、適している場合と、適していない場合もあるため、一般媒介契約の留意点もおさえてから媒介契約を結ぶことがおすすめです。
そこで今回は、一般媒介契約を結ぶかを判断できるよう
- 他の媒介契約と比較して知る一般媒介契約の特徴
- 一般媒介契約のメリットとデメリット
- 一般媒介契約がおすすめな人と避けるべきな人
をまとめました。
この記事を読むことで、一般媒介契約が適しているのかどうかが見えてくるでしょう。最後までお読みいただき、スムーズな売却活動にお役立てください。
[監修]宅地建物取引士
市野瀬 裕樹
中古マンション売買仲介を累計1200件以上監督。株式会社groove agentにおいて不動産売買の業務に3年従事。買い手をサポートしてきた経験を活かし、どうすれば高く売れるのか?を、買い手目線で不動産売却仲介のアドバイスを行う。
目次
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1.一般媒介契約とは?
一般媒介契約とは、3種類ある媒介契約のうちの1つです。
損をしない契約を選ぶためにも、まずは媒介契約の基本をおさえておきましょう。
1-1.そもそも媒介契約とは
媒介契約とは、物件売却を不動産会社に依頼する際に必ず結ばなければいけない契約です。
なぜなら、媒介契約は『依頼者にとって不利な条件にならないように』と法律の“宅地建物取引業法”に則った内容になっており、不動産会社と売主には締結することが義務づけられているからです。
また、媒介契約を締結することで依頼内容が明確になるため、トラブルを防ぐ役割も担っています。
というのも、売却を不動産会社に依頼する際は買い手を探してもらったり、中立的な立場で売買取引の仲介をしてもらうことを期待しますよね。
しかし、契約を結ばずに依頼内容も不明確なままで進めた場合には、依頼しているにもかかわらず売却活動をしてもらえなかったり、他の物件の売却活動の*アテブツに使われたりと、理想的な売却が実現しない可能性もあります。
*アテブツとは、契約を決めたい物件の前に契約する見込みのない物件も見せて「こっちの物件より良い」と思わせる不動産会社の営業手法です。
物件の価格は数百万円~数千万円、中には億単位と高額な取引が行われます。価格も大きい分、トラブルが発生した場合の精神的な苦痛も大きいでしょう。
媒介契約には依頼者と不動産会社の間での依頼内容を明確化し、効力のある約束にする効果があります。不動産会社とのトラブルを未然に防ぐ役割があるため、依頼する際は必ず締結してください。
1-2.一般媒介契約は特に制限が少ない媒介契約
一般媒介契約は他の媒介契約と比べて特に制限が少ない契約です。
たとえば、
- 契約を結べる不動産会社数に制限がない
- 自分で見つけた買主に仲介を通さず販売できる
- 契約期間に規定がない
など、他の媒介契約では禁止されているような取引が一般媒介契約では認められています。
中でも複数の不動産会社と契約できることは大きな魅力であると言えるでしょう。
なぜなら、複数の不動産会社と契約すると、不動産会社が競うように買主を探してくれる環境にできるためです。
ただし、他の契約と比べて売却のスピードも価格も好条件で売却できるのは人気物件であることが条件になります。
需要のない物件の場合は、いくら複数の不動産会社と契約しても“売れない”という最悪な結果につながる可能性もあるため、安易に一般媒介契約を選択することはおすすめできません。
本記事を読み進めていただければ、他の媒介契約と比べた一般媒介の特徴やメリット・デメリットにも理解を深めていただけるはずです。いい面だけでなく、デメリットにも理解を深めてから媒介契約の種類を選ぶようにしてください。
1-3.専任媒介契約と専属専任媒介契約
媒介契約には、一般媒介契約の他に『専任媒介契約』と『専属専任媒介契約』があります。一般媒介契約の理解を深めていただくためにも、それぞれの契約について簡単に解説いたします。
1-3-1.専任媒介契約とは
専任媒介契約は1社のみの不動産会社と締結できる契約です。
不動産会社から見ると『利益に必ずつながる』物件であるため、一般媒介契約に比べると活発的な販売活動をしてもらいやすい傾向にあります。
また、販売状況の報告義務もあるため、売主は物件の状況把握もしやすいでしょう。
専任媒介契約のメリット
- 一般媒介契約と比べると注力した販売活動をしてもらいやすい傾向にある
- 販売状況の報告義務があるから物件状況の把握がしやすい
専任媒介契約のデメリット
- “両手仲介”を狙って他社に物件情報を隠したり、紹介してもらえないことがある
- 売却スピードや価格は契約した不動産会社の売却活動次第になる
1-3-2.専属専任媒介契約とは
専属専任媒介契約は専任媒介契約と同様に契約できる不動産会社は1社のみとなっています。
専属専任媒介契約の場合には、もしも売主が買主を見つけても必ず仲介を通すという契約になっているため、不動産会社側からすると、特にやる気アップにつながる契約であると言えます。
報告義務の頻度が上がるため、販売状況の確認・把握がしやすいことも特徴の1つです。
専属専任媒介契約のメリット
- 3つの媒介契約の中でも特に注力した販売活動が期待できる
- 報告頻度が高いため、販売状況の把握がしやすい
専属専任媒介契約のデメリット
- 自分で買主を見つけた場合でも不動産会社を仲介しなければ売買できない
- “両手仲介”を狙って他社に物件情報を隠したり、紹介してもらえないことがある
1-4.一般媒介契約の仲介手数料
一般媒介契約の仲介手数料は複数の不動産会社と契約を交わしていても、売買契約を仲介してくれた不動産会社1社のみに支払います。
なぜなら、仲介手数料は売買が成立した場合のみに発生する手数料であり、売買契約に至らなかった不動産会社は、たとえ一般媒介契約を交わしていても仲介手数料を支払う義務は発生しないからです。
また、仲介手数料の金額は不動産会社側で請求額を決めることができますが、宅地建物取引業法によって上限額が決まっているので、上限額を超える請求は法律上認められていません。
そのような背景があるため、基本的には上限額で設定されているところがほとんどです。
この上限額は媒介契約の種類に関係なく定められているため、一般媒介契約であっても、他の媒介契約であっても、仲介手数料の上限額に差がないことが特徴です。
ここで気になるのは、「仲介手数料の上限額はいくらなのか?」ということではないでしょうか?
下記で仲介手数料の上限額について解説しているので、続けてご確認ください。
1-4-1.仲介手数料の上限額
仲介手数料の上限額は速算式を使って算出します。
売買価格×3%+6万円+消費税
たとえば、物件が3,000万円で売却できたとして計算してみると、
3000万円×3%+6万円+消費税(2021年11月現在の10%を適用)=105万6,000円
上記で算出された105万6000円が仲介手数料の上限です。
不動産会社は仲介手数料の上限額を請求することが一般的であるため、算出されたこの金額が請求される額として考えてよいでしょう。
ただし、上記の速算式は売却価格が400万円を超える場合のみに適用できます。売買価格が400万円以下の場合は以下の比率を適用させて算出してください。
1-5.一般媒介契約の期間
一般媒介契約の有効期間は「3ヶ月が目安」となっています。
なぜ「目安」と曖昧な期間になっているかと言うと、一般媒介契約には宅地建物取引業法で定められた期間がないからです。
国土交通省が発行する“標準媒介契約約款”に「専任媒介契約と同じく3ヶ月以内で定めるもの」と記されているため、不動産会社がならって3ヶ月を目安として設定していることが一般的となっています。
さらに、基本的に契約期間中であっても契約解除ができるという特性を持っており、契約期間に法的な拘束力はないため、不動産会社によって3ヶ月より短い場合もあれば、3ヶ月を超える期間で設定されている場合もあります。
契約を締結する際には設定した期間を聞いたり、契約書を見たりして確認してください。
2.【徹底比較】一般媒介契約の特徴6つ
売主は契約を選択する必要があるため、一般媒介契約についての理解だけでなく、他の媒介契約についての理解も深めて契約を検討することが賢明です。
ここからは一般媒介契約ならではの特徴を他の媒介契約と比較しながら、より詳しく解説いたします。
2-1.複数の不動産会社と契約が可能
一般媒介契約は、3種類ある媒介契約の中でも複数の不動産会社と契約を結ぶことができる“唯一”の媒介契約です。
というのも、『専任媒介契約』と『専属専任媒介契約』は契約をしてしまうと、他の不動産会社に依頼することはできません。もしも契約を交わしてしまうと違約金を請求される可能性もあるため、慎重に不動産会社を選ぶ必要があります。
一方、一般媒介契約は依頼できる数に制限はないので、1社のみでも、2~3社に依頼しても、5社以上に依頼しても、違法ではないということです。
複数の不動産会社へ依頼できると、
- 窓口が増えるから物件を探している人に情報が届きやすくなる
- 1社に絞る必要がないから気になる不動産会社すべてに依頼できる
などの特徴が生まれます。
一方、
- 『専任媒介契約』や『専属専任媒介契約』のように手厚いサポートが受けられない
- 窓口が複数の分、不動産会社とのやり取りも増える
など、懸念するべきポイントも出てくることが、複数の不動産会社と契約する場合の留意点です。
2-2.不動産会社の仲介なしでも販売できる
一般媒介契約は、もしも売主自身が買主を見つけた場合、不動産会社の仲介を通さずに取引を行うことが認められています。
というのも、『専属専任媒介契約』で契約した場合には、売主が買主を見つけた場合でも必ず仲介を通さなければいけないという決まりがあります。どのような形であっても、必ず不動産会社に仲介手数料を支払う義務が生じるということです。
仲介手数料は上記でも解説したとおり、売買価格×3%+6万円+消費税で算出された金額が請求されます。
3000万円の物件を売却した場合には100万円を超える手数料を不動産会社に支払わなければいけないということです。
個人間での直接取引が認められている一般媒介契約であれば、不動産会社へ支払う仲介手数料が不要になるため、その分現金が手に入ることになります。
2-3.契約期間に規定はない
『専任媒介契約』と『専属専任媒介契約』には3か月以内と契約期間に制限があることに対し、一般媒介契約には法定上の規定は設けられていません。
あくまでも国土交通省の定めている標準的な約款にならって3ヶ月前後にしている不動産会社がほとんどですが、法的な拘束力はないのです。
というのも、一般媒介契約は複数の不動産会社と契約を結ぶことができる契約であるため、特定の不動産会社に“独占される”恐れはありません。
物件は不動産会社に独占されると不動産会社にとって有利な状態に働くため、独占され続けられることは避けるべき状況であると考えられています。
よって、売主にとって不利な状況にならないよう、契約を1社に特定する『専任媒介契約』と『専属専任媒介契約』は3ヶ月以内と法定上で定められているのです。
2-4.レインズ(不動産流通機構)の登録義務がない
一般媒介契約はレインズ(不動産流通機構)の登録義務がありません。
そもそもレインズとは国土交通省から指定されているシステムで、不動産業界が共通して使用し、物件情報の確認を行えるものです。
不動産会社はこのレインズを日々確認して物件の最新情報をチェックし、物件を探している人に情報を提供していることが通常です。
そのため、レインズに登録があるだけで不動産業界に物件の情報を発信することができるというメリットが生まれます。
『専任媒介契約』と『専属専任媒介契約』はこのレインズに登録するという義務があることに対し、一般媒介契約は不動産会社の任意に委ねられています。
何らかの事情があり、物件を売却することを隠したい人にとっては好都合ですが、なるべく早く好条件で売りたい人にとっては不都合な特徴であると言えるでしょう。
一般媒介契約でもレインズへの登録を希望する人は不動産会社へ申し出て、レインズに登録することを約束する契約を交わせば登録を行ってもらうことが可能です。
2-5.販売状況の報告義務がない
一般媒介契約の場合、不動産会社には販売状況に関する報告義務はありません。
そもそも販売状況の報告とは、
- 宣伝活動の内容や成果
- 何件の問い合わせが来ているか
など、具体的な売却活動の近況を知ることができるものです。
これらの報告を聞くことによって、売主は売却活動を行ってくれているという安心感や、物件のニーズなどを知ることができるでしょう。
不動産会社からの報告がない場合、売主が不動産会社へ問い合わせをして確認する手間がかかります。
もしも報告を受けたい場合は契約を結ぶ前に不動産会社へ依頼し、「報告する」という特約を付けてもらってから締結してください。
2-6.2種類の販売形態から選べる
一般媒介契約では『明示型』と『非明示型』の2種類の販売形態から選びます。
そもそも『明示型』とは契約したすべての不動産会社に、他の不動産会社の情報を提示することです。主に不動産会社の名称と所在地を共有します。
明示型を選ぶことで不動産会社はライバルが明確になるため、売却に向けた戦略が立てやすくなり、熱心な売却活動が期待できる効果が生まれます。
一方、『非明示型』は、どの不動産会社に依頼しているのかを明らかにしない契約です。不動産会社にとって、非明示型は戦略が立てづらく、「売主から信用されていない」という不名誉を受けた気持ちを感じるものです。
そのため、積極的な売却活動につながりづらいというデメリットがありますが、公表したくない理由がある場合はメリットになるでしょう。
『非明示型』で依頼する場合は特約で締結する必要があります。契約を結ぶ前に『非明示型』で進めることを伝えてから交わすようにしてください。
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3.一般媒介契約のメリット
一般媒介契約には、以下のようなメリットがあります。
一般媒介契約のメリット
- 不動産会社選びの失敗リスクを軽減できる
- 競争効果で売却価格が上がる可能性がある
- 非公開で売却活動ができる
一般媒介契約を選ぶことで得られるメリットについて詳しく解説いたします。
3-1.不動産会社選びの失敗リスクを軽減できる
一般媒介契約は不動産会社選びで失敗しにくい契約であることがメリットです。
なぜなら、物件が理想的な条件で売れるかどうかは不動産会社の集客力や営業力にかかっていると言っても過言ではないからです。
もしも依頼した不動産会社に相応の力量がなかったり、誠意がなかったりした場合、売主にとって不利な状況になることもあり得ます。
締結する不動産会社を1社に絞り込む必要のない一般媒介契約は複数の不動産会社に依頼ができるため、もしも不誠実な不動産会社と締結してしまっても、他の不動産会社でカバーできる可能性があるでしょう。
不動産会社の売却活動は実際に契約を交わさなければ確認することは難しいため、依頼する不動産会社を見極めるために一般媒介契約を結ぶという売主もいます。
このように1社のみに絞る必要がない一般媒介契約は、不動産会社選びで失敗するリスクを軽減できるというメリットが期待できるのです。
3-2.競争効果で売却価格が上がる可能性がある
もしも売却する物件が需要の高い物件の場合、売却価格より高値で契約に至る可能性もあります。ただし、このメリットが生まれるのは需要の高い人気物件のみに言えます。
人気の高さはニーズの動きによりますが、一般的に築浅物件や駅近物件は競争率が上がる可能性があると言えるでしょう。
なぜなら、複数の不動産会社に依頼することで会社間の競争力が生まれ「他社に契約を取られないように」と特に好条件を提示する購入希望者を紹介してくれる可能性が出てくるからです。
売主は特に好条件を提示している会社を選んで取引を交わすことができるため、理想としている売却が実現できるメリットが期待できるというわけです。
郊外や古い物件は何社と契約を交わしても積極的な売却活動をしてもらえないこともあるため、注意が必要です。
3-3.非公開で売却活動ができる
一般媒介契約は非公開で売却活動ができるため、物件の売却活動を親族や近所の人、友人などに知られたくない売主にはメリットと言えるでしょう。
というのも、他の媒介契約ではレインズの登録が義務となっているため、レインズに載せずに売却活動を行うことが認められていません。不動産業者を通じて一般の人もその物件情報を知ることができるというわけです。
一方、一般媒介契約はレインズへの登録義務がありません。そのため、不動産業界に物件情報を公開することなく販売活動を行うことが可能になります。
物件は広く認知されることで買主が見つかりやすい状況になりますが、何か事情を抱えている場合には非公開にすることでメリットが得られる場合もあるでしょう。
物件情報を公にせず売却活動ができることは一般媒介契約ならではのメリットであると言えます。
4.一般媒介契約のデメリット
一般媒介契約には以下のように留意するべきデメリットも存在します。
一般媒介契約のデメリット
- 積極的な販売活動に至りづらい傾向にある
- 販売状況が把握しにくい
- レインズの登録が義務化されていない
後悔のない契約を目指すために、デメリットもしっかり見ていきましょう。
4-1.積極的な販売活動に至りづらい傾向にある
第3章のメリットでは「条件がよい物件の場合は、不動産会社間での競争力が上がる」と解説しましたが、積極的な販売活動が期待できない側面もあることが一般媒介契約のデメリットです。
というのも、不動産会社から見た一般媒介契約は“仲介手数料につながらない可能性もある物件”という認識だからです。
需要が高く、買い手が見つかりそうな物件の場合は「いち早く契約を目指そう」とやる気につながりますが、物件によっては二の次にされてしまう可能性もあります。
このように、不動産会社の立場から考えると、確実に仲介手数料を得られる『専任媒介契約』や『専属専任媒介契約』の方がやる気につながりやすいと言えるでしょう。
一般媒介契約だからと言って必ずしも競り合うような売却活動が実現するわけではないため、積極的な販売活動を目指すのであれば、一般媒介契約が向かない可能性があることもおさえていきましょう。
4-2.販売状況が把握しにくい
売主にとって一般媒介契約は販売状況が把握しにくいというデメリットがあります。
なぜなら、一般媒介契約には販売状況の報告義務がないからです。
中には義務がなくても報告をしてくれる不動産会社もありますが、売主側から問い合わせをしなければ把握できない場合が一般的です。
また、複数の不動産会社と契約をしていると、それぞれの不動産会社へ問い合わせをして聞かなければいけません。
何社も問い合わせをして販売状況を聞くことは手間も時間もかかります。窓口が1つの場合と比べると、必然的に販売状況の把握がしづらくなってしまう傾向にあるのです。
買い手のニーズを把握できなければ、設備を見直したり、売却価格を下げたりと販売戦略を立てづらくなるでしょう。
一般媒介契約には、販売状況の把握がしにくいというデメリットもあることをおさえてください。
4-3.レインズの登録が義務化されていない
一般媒介契約はレインズの登録が義務化されていないデメリットがあります。そのため、専任媒介契約に比べて情報が広がりにくい傾向にあります。
というのも、一般媒介にはレインズへの登録が義務ではなく、不動産会社の任意によるものになります。もしもレインズに登録してもらえなかったら不動産業界で物件の売却情報は認知されません。
レインズに登録されないと依頼した不動産会社の宣伝力のみが情報拡散の要素になるため、レインズに登録のある物件と比べると圧倒的に物件情報は閉鎖的なものになります。
物件情報は不動産会社に見つけてもらえなければ購入を希望している人に届きません。
公表せずに売却活動を進めたい売主にはデメリットではありませんが、好条件でスピーディに売却を進めたい売主にとってはデメリットであると言えるでしょう。
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5.一般媒介を選ぶことがおすすめな人
一般媒介契約にはメリットもデメリットも存在しますが、デメリットはすべての人が当てはまるものではありません。一般媒介契約が最適な場合ももちろんあります。
では、具体的にどのような人が一般媒介契約に適しているのでしょうか?
ここからは、一般媒介契約を選ぶことがおすすめな人をご紹介します。
5-1.人気の高い物件を売りたい人
人気の高いエリアや、築浅物件など、高いニーズが予想される物件には一般媒介契約を結ぶことがおすすめです。
なぜなら、複数の不動産会社に依頼することで競争力が働き、売却価格の値上がりやスピード感ある売却が期待できるからです。
もちろん人気の高い物件であれば、『専任媒介契約』や『専属専任媒介契約』でも好条件で売れる可能性はあるでしょう。
しかし『専任媒介契約』や『専属専任媒介契約』では、1社のみにしか売却活動や仲介を依頼することはできません。
よって、契約を結んでいる不動産会社の宣伝力や営業力によって売却のスピードも価格も左右されてしまうのです。
一般媒介契約は複数の不動産会社に依頼できるので、特定の不動産会社に依存することなく売却活動を進めることができるうえ、不動産会社が競い合うように買主を探してくれる環境になります。
そのため、他の媒介契約よりも好条件で売却できる可能性が高まるということです。
売却したい物件にどのくらいの需要があるかどうかが不明な場合は、物件があるエリアに詳しい不動産会社に尋ねてみても良いでしょう。需要の高さを契約の種類を決める判断材料にすることがおすすめです。
5-2.初めは依頼する不動産会社を1社に絞り込みたくない人
依頼する不動産会社を1社に絞り込みたくない人も、一般媒介契約を結ぶことがおすすめです。
というのも、『専任媒介契約』や『専属専任媒介契約』の場合は、1つの不動産会社の力量によって、「売却できるか」「いくらで売却ができるのか」が決まります。
大切な財産であり、思いが詰まった物件は信頼できる不動産会社に頼みたいですよね。
もし、どの不動産会社に依頼すればいいのか分からない場合は、まず一般媒介契約で気になる不動産会社に依頼し、対応の仕方や売却活動の様子を見てから別の契約に切り替えるという方法もできます。
というのも、一般媒介契約は基本的に契約期間に規定がないため、契約の種類を切り替えることができる契約内容になっているからです。
そのため、依頼する不動産会社を絞り込めない場合は、どの不動産会社が信頼できるかを見極めるために、まず一般媒介契約を結んで様子を見るといった使い方もおすすめです。
6.一般媒介契約を避けた方がいい人
では、次に一般媒介契約を避けた方がいい人について見ていきましょう。
6-1.買い手が付かなそうな物件を売りたい人
売却したい物件が郊外に立地していたり、築年数が古い物件の場合には一般媒介契約よりも『専任媒介契約』や『専属専任媒介契約』がおすすめです。
なぜなら、『専任媒介契約』や『専属専任媒介契約』を結んだ不動産会社は、仲介手数料を必ず得ることができるという確実な報酬が見えるため売却活動に力を入れてもらえる可能性があるからです。
一般媒介契約よりも手厚い売却活動をしてもらえる可能性があるため、買い手がなかなか見つからなさそうな物件の売却を考えている人は、一般媒介契約は避けた方がいいでしょう。
6-2.売却を急ぎたい人
人気の高い物件を売却する人は当てはまりませんが、売却にスピードを求めている人は一般媒介契約よりも『専任媒介契約』や『専属専任媒介契約』が向いていると言えます。
というのも、不動産会社が競い合って売却することは人気の高い物件に限ったことであり、必ずしも報酬につながるわけではない物件にはあまり注力しない傾向にあるからです。
『専任媒介契約』や『専属専任媒介契約』であれば、契約期間内に売却できれば必ず報酬につながるため、不動産会社も期間内の売却を目指しています。
そのため、需要の低さが懸念される物件の売却を急ぎたい人には一般媒介契約をおすすめできません。
6-3.信頼できる不動産会社に依頼したい人
すでに売却の仲介を依頼したい不動産会社があるのであれば、一般媒介契約を結ぶメリットはありません。
むしろ、不動産会社に「信頼されていない」という印象を与えてしまうでしょう。
『専任媒介契約』や『専属専任媒介契約』を締結することは、不動産会社への信頼の証しにもなります。
不動産会社がやる気を感じる契約にもなるので、一般媒介契約よりも、より注力して売却活動をしてくれるようになるでしょう。
よって、信頼できる不動産会社が決まっている場合は、一般媒介契約ではない契約をおすすめします。
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7.一般媒介契約を結んだ後のポイント
契約期間中にどのような手間や注意点があるのかも知ると「こんなはずではなかった」という後悔を防ぐことができるでしょう。
ここでは一般媒介契約を結んだ後に行うべきことや、解約時の注意点についてご紹介します。
7-1.契約した不動産会社への報告は忘れずに行う
一般媒介契約を結んだ後、特に注意したいことが不動産会社への報告です。
なぜなら、契約を結んでいる不動産会社ではない不動産会社と売買契約が決まったり、すでに取引が完了している場合は“抜き行為”とみなされ、思わぬトラブルに発展する可能性があるからです。
一般媒介契約は複数の不動産会社と契約を締結することが認められているため、問題がないように思えますが、売却活動を依頼している以上、このような行為は容認されるものではありません。
もしも抜き行為と判断された場合、売却活動にかかった費用を全額売主が負担する必要が出てくるため、売主にとっては大きな損失になるでしょう。
物件に動きがあった場合は、契約している不動産会社すべてに連絡を入れて近況を報告することが大切です。
7-2.他の媒介契約への切り替えも検討する
売却活動を行ってもなかなか反応が得られない場合には『専任媒介契約』や『専属専任媒介契約』への切り替えも検討しましょう。
というのも、『専任媒介契約』や『専属専任媒介契約』で結んだ場合、不動産会社は売りやすくなるようにとサービスを提供している場合もあるからです。
不動産会社によってサービス内容は異なりますが、たとえば、以下のようなサービスを展開しています。
- ハウスクリーニング
- プロのカメラマンによる写真撮影
- 広告宣伝費の拡大
- 買取保証 など
これらのサービスは1社のみに依頼するからこそのメリットです。売却に手厚いフォローが必要だと判断した場合、契約を切り替えることでうまくいく可能性があります。
7-3.解約は契約書を確認してからにする
一般媒介は基本的に契約期間中であっても電話1本で解約することが可能です。しかし、念のため解約は契約書を確認してから行うようにしましょう。
なぜなら、契約内容によっては一般媒介契約であっても違約金が発生したり、売却活動にかかった費用が請求されるケースもあるからです。
ペナルティの対象になる場合は以下のようなケースです。
- 途中解約したら違約金が発生するという特約を結んでいる場合
- 不動産会社が積極的な売却活動をしているにもかかわらず途中解約を申し出た場合
どのような契約内容になっているかは契約書で確認ができます。解約する場合はペナルティが課せられることがないかを確認してから連絡するようにしましょう。
また、契約を締結する際は、解約時のことについてもよく確認することをおすすめします。
8.まとめ
売却時に不動産会社と締結する契約には3種類の媒介契約があり、比較すると以下のような特徴があります。
他の媒介契約と比べると、特に制限がゆるく、売主にとっても不動産会社にとっても自由度が高い売却活動になりやすいです。
さらに、一般媒介契約には以下のようなメリットもあります。
- 不動産会社選びの失敗リスクを軽減できる
- 競争効果で売却価格が上がる可能性がある
- 非公開で売却活動ができる
不動産会社選びに不安を感じていたり、こっそり売却活動を進めたい人でも売却できる契約であると言えます。
一方、
- 積極的な販売活動に至りづらい傾向にある
- 販売状況が把握しにくい
- レインズの登録が義務化されていない
というデメリットも存在するため、注意が必要です。
デメリットを考慮すると、「自分の物件は条件が良いので、買主に興味を持ってもらえそう」「積極的に売却活動を確認し、満足できる不動産売却にしたい」という人は、一般媒介契約が合うでしょう。
他方、「立地条件に不安がある」「仕事が忙しく、なかなか売却活動を確認する時間が取れない」という人は、専任媒介契約、専属専任媒介契約の方が向いています。
まずはご自身にあった契約方法を選び、信頼できる不動産会社と売却の一歩を踏み出しましょう。
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【1】中古マンション売却を現状のママで高く、早期に売却できる。
【2】プロライターが物件取材して隠れた魅力を引き出すから、早く・無駄なお金をかけずに売れる。
【3】しつこい営業電話などセールスがないから、安心して売却相談ができる。
無料相談をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。
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